「日本絵画 組み合わせの美」いよいよオープン!

いよいよ本日から、企画展「日本絵画  組み合わせの美」がオープンいたしました。

本展は当館の館蔵品の中から、二点・三点、あるいはそれ以上の点数がセットになり「組み合わせ」て鑑賞する作品ばかりを集めて展示するという、ユニークな展覧会です。屏風や掛軸を中心に「一双」「一対」「揃い」など、1点だけでは完結しない日本絵画の作品24点を、3つのコーナーに分けて展示しています。



第1のコーナー「連続する画面─パノラマの美」では、六曲一双という屏風の形式をフル活用し、横長のパノラミックな画面に迫力たっぷりに風景などを描いた作品をご覧いただけます。
例えば上の作品、庄田鶴友(しょうだ・かくゆう)が九州の耶馬渓に取材して描いた「耶馬渓の朝」は、まだ電気すら通っていない明治44年当時の秘境の風景が、師匠の山元春挙(やまもと・しゅんきょ)譲りの迫力あるタッチによって見事に描写されています。遠景をわざと朝もやにけぶらせることによって、かえって遠景の果てしない拡がりを感じさせるところが見事です。



第2のコーナー「競い合う構図と色─対比の美」では、一双屏風や双幅の掛軸など対になった画面の左右を、対比的に描いた作品の面白さをご紹介いたします。
例えば上の作品、冨田溪仙(とみた・けいせん)の「風神雷神」は、一双屏風の右隻に風神、左隻に雷神の姿を描いていますが、両者はそれぞれ青と赤、上向きと下向き、動と静、腹側と背中側など、特徴が正反対になるように描かれていることがわかります。



第3のコーナー「“揃い”の愉悦─セットの美」では、複数の作品がセットになって1点の作品を構成しているような作品を集めてみました。
8点で1セットになる「近江八景」はその代表的な例ですが、上の作品、小倉遊亀(おぐら・ゆき)の「花三題」は三点の静物画が、ちょうど仏画の三幅対に見立てられ、中央に御本尊、両側に脇侍の仏が配さるように構成されています。生きとし生けるものみな仏が宿っているという小倉遊亀晩年の哲学が到達した、独特の形式です。


本展ではこれらを含め、21作家、24点の作品によって、日本絵画が持つユニークな形態と表現をご紹介いたします。本展を機会に、日本絵画の魅力に改めて触れていただければ幸いです。

展示室をつなぐ休憩室の窓からは、ただいま日本庭園の満開の桜がご覧いただけます。春のちょっとした行楽に、息抜きに、ぜひ美術館にお越し下さい。


■企画展示『日本絵画 組み合わせの美』
会期:4月14日(土)─6月3日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし4月30日(月)は開館、翌5月1日(火)は休館)
観覧料:一般750円(550円)・高大生500円(400円)・小中生300円(250円)
※( )内は前売及び20名以上の団体料金