美術館の歩みを展覧会で振り返る(平成元(1989)年)


『美術館の歩みを展覧会で振り返る』の第6回、平成1(1989)年度です。平成に入って最初の年度となるこの年は、当館にとって開館5周年目の年でもありました。そのため、ふたつの開館5周年記念展を中心にした豪華なラインナップとなりました。



037
湖国美術作家シリーズ1 滋賀の洋画
1989年04月01日─1989年05月07日  開催日数:32日  観覧者数:7,769人
この年度から始まった新しいシリーズ展「湖国美術作家シリーズ」の第1回展でした。「湖国美術作家シリーズ」は滋賀県ゆかりの物故作家、ならびに滋賀県で現在活躍中の作家を、毎回“洋画”“日本画”といったテーマ別に紹介してゆくもので、本展の後は平成3(1991)年度に「滋賀の日本画」、平成7(1995)年度に「滋賀の工芸 伝統のやきもの」展を開催いたしました。
第1回展である本展「滋賀の洋画」では、野口謙蔵、大橋了介(りょうかい)、黒田重太郎など12名の物故作家と、現在活躍中の洋画家19名の計31名を取り上げ、それぞれ2点ずつ作品を展示することで滋賀の洋画の歴史と現状を広く紹介いたしました。
詳しくは「こちら」をどうぞ。



038
サージェント展
1989年05月13日─1989年06月11日  開催日数:26日  観覧者数:14,375人
アメリカ人の画家ジョン・シンガ−・サージェント(1856-1925)は、19世紀末から今世紀前半にかけて欧米で絶大な人気を誇った肖像画家です。印象派の影響を受けつつ、社交界に集う紳士淑女や詩人、画家、音楽家、政治家など、多彩な顔ぶれの肖像画を描いて一世を風靡しました。本展はサージェントの画業の全貌を紹介する日本で初めての回顧展で、肖像画、風景画、風俗画や、ボストン美術館の内部装飾のための油彩スケッチ、彫刻を加え、合計83点の作品を展示いたしました。
詳しくは「こちら」をどうぞ。



039
デイヴィッド・ホックニー
1989年06月14日─1989年07月09日  開催日数:23日  観覧者数:8,611人
イギリスの現代作家デイヴィッド・ホックニーは、現在もっとも人気のある現代美術の作家のひとりです。アメリカ西海岸に住み、親しい人々や自分の好きな風物などのきわめて私的な主題を、光に満ちあふれたクールかつ鮮烈な色彩で描き出す彼の作品は、独特の魅力に溢れています。また80年代以降の彼は絵画だけでなく、ユニークな写真のコラージュやオペラの舞台美術、新しい技法によるペーパーワーク、カラーコピー機を使った版画など、次々と新たな表現に取り組んでいます。回顧展形式のものとしては日本初になるこの個展では、、30年余りにわたるホックニーの活動を振り返るために、1954年の習作時代から1988年にいたる89点の作品(油彩・アクリル22点、ドローイング28点、版画19点、写真20点)を展示いたしました。
詳しくは「こちら」をどうぞ。



040
開館5周年記念 戦後アメリカ絵画の栄光 1950年代/60年代
1989年07月22日─1989年09月17日  開催日数:50日  観覧者数:12,881人
この年度に開催したふたつの開館5周年記念展のうち、現代美術部門の展覧会は、当館の作品収蔵方針の根幹をなしている『アメリカ現代美術の黄金時代』と呼ばれる1950年代/60年代の美術に焦点を絞った意欲的な企画でした。抽象表現主義、ネオ・ダダ、ポップ・アートの3つの運動を中心に、本展のために海外から購入した4点の新収蔵品(ゴーキー「無題(バージニア風景)」、スティル「PH-386」、ノーランド「カドミウム・レイディアンス」、ウェッセルマン「グレート・アメリカン・ヌード#6」)を含む、1950年代/60年代を代表する25作家の計57点の作品を展示し、戦後アメリカ絵画の栄光を余すところなくご紹介いたしました。
詳しくは「こちら」をどうぞ。



041
開館5周年記念 近代日本画の黎明・日本美術院
1989年10月07日─1989年11月05日  開催日数:26日  観覧者数:512,892人
ふたつ目の開館5周年記念展は、収集方針のひとつ『近代の日本画』の中心となっている『日本美術院』の活動を、時代順にご紹介してゆく展覧会の第1弾でもありました(第2弾の「日本美術院 文展苦闘編」は平成4(1992)年度に開催)。本展では明治31年(1898)に学者・岡倉天心によって創設された日本美術院の、結成前夜から初期の活動に焦点を当て、横山大観菱田春草をはじめ、下村観山、西郷孤月、また寺崎広業、小掘鞆音といった草創期に活躍した日本画家らの作品58件(うち重文1点を含む)を展示・公開し、明治30年代における日本美術院の動向をさまざまな角度から概観しました。特に当時世間から激しい批難を浴びた、一般に朦朧体と呼ばれる(輪郭線を用いない)没骨画法をはじめ、若き日本美術院の画家たちによる様々な試みをご紹介いたしました。
詳しくは「こちら」をどうぞ。



042
シガ・アニュアル '90 写真による現代版画 −虚と実の間−
1990年01月05日─1990年02月12日  開催日数:34日  観覧者数:3,757人
シガ・アニュアルの第4回展は、写真を利用した新しい版表現に取り組んでいる6名の作家―秋岡美帆、大島成己、小枝繁昭、出店久夫、永原ゆり、濱田弘明―を取り上げたもので、写真と絵画という相反する技法を融合させることによって生まれた特異な表現をご紹介いたしました。それらは写真と版画という両ジャンルの混交によって生まれた新しい表現というのにとどまらず、サブタイトル「虚と実の間」が示すように、現実と虚構の境界線が曖昧となり、人間の現実認識のありかたについても深く問いかけるような作品群でもありました。
詳しくは「こちら」をどうぞ。



043
名作に見る世界の子供たち
1990年02月17日─1990年03月25日  開催日数:32日  観覧者数:12,864人
この年度最後の展覧会は家族の語らいの場として、また子供たちにとっての初めての美術鑑賞の場として役立ててもらうことを目的としたファミリー向けの企画展で、国内外の著名芸術家たち82人が愛らしい子供たちの姿を題材に制作した、洋画・日本画・版画・童画・彫刻など109点を集めて展示したものでした。出品作家はブーグロー、ドニ、ローランサンブールデル等の海外作家をはじめ、久米桂一郎、中村彝、安井曽太郎等の洋画家、下村観山、片岡球子高山辰雄等の日本画家、舟越保武佐藤忠良等の彫刻家、それにいわさきちひろ等の童画家など多岐にわたり、美術入門編としても充分満足のゆく内容でした。
詳しくは「こちら」をどうぞ。