対話型鑑賞のイベント「おしゃべり美術館」結果報告


白洲正子展」の最終週の週末(11月20日(土)・21日(日))は『関西文化の日』でした。これに関連して、常設展示室において午前10時半から正午まで、対話型鑑賞のイベント「おしゃべり美術館」を開催いたしました。
これは少人数でグループを組み、当館サポーターの誘導によって常設展示室の作品を前にして、メンバーどうしで自由に話し合うというもので、最近あちこちの美術館で実施されている「対話型ギャラリートーク」の試みでした。これまでは「作品は一人で静かに鑑賞するもの」というのが常識でしたが、作品を前にしておしゃべりしながら鑑賞したり、ジェスチャーを試みたり、様々な角度から眺めたりすることによって、ひとりではわからない発見や、他人の感性に触れた驚きが得られます。対話型の鑑賞こそ、新しい時代の新しい鑑賞方法と言えるでしょう。
残念ながら当イベント、常設展示室で実施するというのが地味に感じられたのか、事前の申込みは低調でした。そこで当日、「白洲正子展」で大賑わいの館内にアナウンスで飛び入り参加を呼び掛けてみたところ、多くの方々が興味を持って参加して下さいました。

参加者には目印代わりに、特製のブローチを付けてもらいました(左端のスタッフが左手に持っています)

最初は固かった参加者たちも、サポーターの饒舌に乗って話を聞いているうちに打ち解けてきます。

そして自分から作品の疑問点を質問したり、自分の感じたこと、美術にまつわる自分の体験などについて、気軽に話してくれるようになってゆきます。

親子連れの参加者もいました。感性豊かな子どもと一緒に作品を見ることは、大人にとって大きな刺激になります。

時にはしゃがみこんだり、ふだん見慣れない方向から作品を眺めたり、色々と試してみます。

飛び入り参加者もどんどん増え、一室に複数のグループが平行して鑑賞するまでになりました。

最終的な参加者数は、11月20日(土)が21名(担当サポーター5名)、22日(日)が38名(担当サポーター6名)でした。
担当したサポーターたちは、通常の解説とは違う試みに最初緊張気味だったものの、終了後に取ったアンケートには、「女性の方がとても感じ良くアートの世界に導いて下さったので、とてもうきうきしました。来て良かったです(37歳女性)」、「このような企画がないと美術館に行ってもあまり深く考えないので良かったです(22歳女性)」、「常に人に聞いてみたいと思った事が聞ける事と、いろいろと人によって鑑賞の仕方が違うものだと思った(71歳女性)」、「常設展なんて・・・と思っていたけど、大まちがい。こちらの方がよかったです(56歳女性)」、といった意見が続出して、参加者からも好評をいただいていたことがわかり、スタッフ一同胸をなで下ろしました。

この試み、今後も継続して続けてゆきたいと考えています。次の機会にぜひ、あなたもご参加下さい。