新緑の文化ゾーン探索(1)


ゴールデンウィークが終わって梅雨の入るまでの季節は、当美術館が位置する文化ゾーン公園の新緑がもっとも美しい季節です。けれども美術館を訪れるお客さまの中には、バス停や駐車場と美術館の間の道を足早に往復するだけの方も多く、少しもったいない気がします。そこで天気の良い日は公園内をゆっくり散策していただこうと、美術館の新人職員に公園内の写真を撮ってきてもらいました。これらの写真を順に辿りながら、公園内の楽しい探索のコースをこれから2回に分けてご紹介したいと思います。

探索の基点となるのは「文化ゾーン前」バス停にもっとも近い公園北口です。ここから舗装された車道に沿ってL字型に進むと美術館の入口に着きますが、今日はあえて北口駐車場を通り抜けて、日本庭園「夕照の庭」の池のほとりに出ることにします【地図の(1)】。ここは近江八景のひとつ「瀬田の夕照(せきしょう)」にちなんで名付けられた美しい日本庭園です。まずはこの池の周囲を探索してみることにいたしましょう。

この池は漢字の「心」の字のかたちをしているため、心字池と呼ばれています。池の水は循環式で高い場所に汲み上げられ、川になって再び池に注ぎ込むようになっています。池にはニシキゴイがたくさん泳いでいて、じっと眺めているだけでも癒されます。

池の周囲は遊歩道がぐるりと巡っています。遊歩道から高台に登ったところが「夕照の丘」で、琵琶湖を遠望することもできます。
遊歩道に沿って、あちこちに季節の花が植えられています。今はヒラドツツジの紅白の花が満開。時には池や花を眺めながら、ベンチでのんびりくつろぐのもいいでしょう【地図の(2)】。

池をへだてた向こう側(南側)は美術館の敷地です。目をよく凝らすと、美術館の屋外展示場にある野外彫刻(ケネス・スネルソンの鉄塔のような作品「ニードル・タワー」)が池の向こうに見えます。美術館の建物は周囲の自然に溶け込むようなデザインであるため、あまり目立ちません【地図の(3)】。なお途中で池のまわりを巡る道から、美術館の西側をぐるりと回って入口に向かう道が分岐しています。

池のまわりをぐるりと3分の2周ほど歩いたところに、菖蒲園があります。まだ季節が早いためハナショウブの花は咲いていませんが、6月中旬頃になると美しい赤紫の花が咲き乱れ、その姿は美術館の企画展示室の途中にある、休憩室からもご覧いただけるようになります。けれどもせっかくですから、ハナショウブの花は池のまわりを散策して、すぐ目の前で見ていただきたいものです【地図の(4)】。

池の周囲を巡る道は菖蒲園の先で途切れ、代わりに高台に登る道が現れます。この道は、池から汲み上げられた水が川になって再び池に注ぎ込む渓流に沿って散策する道に続いており、まるで迷路のように入り組んだ道が四方八方へ伸びています。迷子にならないように注意して下さい【地図の(5)】。

いったん高台に登った後、低い方に向かって降りてゆけば、橋を渡って池をひと回りし、再び元の場所へと戻ってくることができます。途中、橋の向こうに見える日本家屋は、茶室「夕照庵」です【地図の(6)】。ここは誰でも気軽に、日本庭園の四季折々の風情を楽しみながら抹茶と和菓子をご賞味いただける、くつろぎの空間です。飛び入りの利用も可能ですので、美術館にお立ち寄りの際にはぜひご訪問ください。

池の周囲を一周したところで今日の探索はひとまずおしまいです。次回は別のルートで探索を続けたいと思います。

【夕照庵 利用案内】
◆呈茶料:抹茶と和菓子のセット 350円
◆営業時間: 4月から10月・・・午前9時半から午後4時半まで
         11月から3月・・・午前10時から午後4時まで
◆休業日:毎週月曜日(祝祭日の場合はその翌日)と年末年始
詳しくは 077-545-2977 までお問い合わせください。
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