美術館サポーターによるイベント「小鳥がかくれた森をつくろう!」レポート


当館は1993年から毎年夏休みに、子ども向けのワークショップイベント「びっくりミュージアム」を開催しています。ふだん教室や家庭ではできないようなアート体験をしてもらおうと、豊富な材料を用いて作品制作を行ったり、スタッフと共に美術館探検や展示品観察などの集団ワークショップを行ったりするもので、毎回好評をいただいています。

今年の「びっくりミュージアム」は2種類のイベントを開催しますが、そのうちのひとつ、小学生と幼児対象のワークショップ「小鳥がかくれた森をつくろう」は、美術館でふだん展示解説などを行っている美術館サポーターが中心になって実施した初めてのイベントです。このイベントのために数ヶ月前から会議を繰り返してイベントの細部を詰め、予行演習も行って本番に備えました。イベントの実施は8月3日(水)と4日(木)の2回。全部で17名のサポーターが、8月3日33名、4日26名の子どもたちを相手に、悪戦苦闘しながら初めての試みに取組みました。その様子を、レポートさせていただきます。

イベントの内容は、小鳥をモチーフにした「吊るす小型オブジェ」と、その背景となる「森のジオラマ」作り。完成作品は8月9日(火)から21日(日)までギャラリー展示室で「わたし流・作品スケッチ大会」の応募作品と共に一般公開し、その後子どもたちに返却いたします。

イベントの司会はおなじみアート博士が行いましたが、博士は今回はあくまでオブザーバー。主役となるサポーターたちが一列に並んで、まずは子どもたちに挨拶をいたしました。子どもたちはあらかじめ5つのグループに分かれており、サポーターもそれぞれのグループの専属として子どもたちの指導を行う者や、遊撃手的に手伝う者、写真記録を行う者など、さまざまな役割に分かれて活動します。

イベントの最初は常設展示室「夏休み子ども美術館・アートはヒミツのかくれんぼ」の観賞から。アート博士が子どもたちを先導して作品の解説を行います。一見イベントとは何の関係もないような作品鑑賞ですが、ここで見たものがあとの作品制作に生かされたりすることもよくあります。

講堂に戻ったら、まずは「背景となる森のジオラマ作り」。子どもたちのグループ毎に、水色と緑色を接いだ巨大な色画用紙が用意されているので、その上に茶色の画用紙や、さまざまな色の色紙、フェルト、テープ、モールなど、豊富な素材を貼り付けて森のイメージを作ってゆきます。

木だけじゃなく、葉っぱやお花、果物や木の実、森に住んでいるさまざまな生き物も作ってみましょう。材料はふんだんに用意してあります。

だんだん森らしくなってきました。木に模様を描く子どもや、鳥の巣を作る子ども、草むらに潜む動物を作る子どもなど、それぞれのアイデアを生かしながら分担して森を作り上げてゆきます。スタッフのサポーターもアイデアを出したり、手伝ったりと大忙し。

風船を木の実や果物に見立てて膨らませ始めました。学校ではふだん出来ないようなことでも、今日は特別に何でもOKです。

森のジオラマが出来上がったら、今度は小鳥のオブジェ作り。使える素材はさっきの森作りで使用したものよりも、もっと増えています。紙の筒をベースに色紙を巻いたりテープを貼り付けたりして、鳥の姿を作りましょう。頭部と翼のパーツはあらかじめ数種類ずつ用意してありますが、自分で一から作っても構いません。現実の鳥をそのまま再現してもいいし、空想で不思議な鳥を作ってもOK。わからないことは、スタッフのサポーターに相談してみましょう。

苦労の甲斐あって、素敵な小鳥がだんだんと仕上がってきます。完成した小鳥のオブジェはいったん美術館で預かり、8月9日(火)から21日(日)までギャラリー展示室において、森のジオラマを背景に吊るすようにして展示いたします。

いったいどんな楽しいオブジェが完成したのか。それは展示を見てのお楽しみ。ギャラリーの入場は無料ですので、ぜひ皆さまもお越し下さい。お待ちしています。