本日から新しい秋の常設展示がオープン

本日9月4日(火)から、常設展示室の作品が大きく入れ替わりました。
『常設展示室1:日本画・郷土美術部門』は日本美術院の作家たち」と題し、明治31(1898)年に学者・岡倉天心(おかくら・てんしん)を中心に創設され、大正3(1914)年に天心の弟子の横山大観(よこやま・たいかん)らによって再興されたわが国最大の在野の日本画団体・日本美術院に所属する画家たちの名品21点を、明治・大正時代の作品を中心に選りすぐってご紹介しています。なお併せて小倉遊亀コーナーの展示替えも行いました。

展示は横山大観菱田春草(ひしだ・しゅんそう)ら日本美術院草創期から活躍している重鎮作家の作品に始まり、今村紫紅(いまむら・しこう)、小茂田青樹(おもだ・せいじゅ)、冨田溪仙(とみた・けいせん)ら大正・昭和期に活躍した新世代の作家たちの作品を紹介し、そのうちのひとり安田靫彦(やすだ・ゆきひこ)の名作「飛鳥の春の額田王」で締めるという構成になっています。

なおあまり表には出していませんが、実は今回の展示の「裏テーマ」は『自然』です。芸術家たちが独自の視点で捉えた様々な自然の姿をご覧いただけます。


一方『常設展示室2:現代美術部門』では「物質(モノ)への挑戦」と題し、現代美術の特徴のひとつである「物質性へのこだわり」に着目し、絵具や土など素材の物質感を前面に押し出した作品や、廃材を用いた作品など17点を展示しています。

今回の展示の一番の目玉は、奥にあるマグダレーナ・アバカノヴィッチの30体の麻布製人体像からなるインスタレーション作品「群衆IV」です。展示室に合わせて様々な方法で並べて展示することが許されている作品ですが、今回は展示室の奥から一人ずつこちらに向かって歩んでくるような印象を与えるように展示しました。

アバカノチッチの作品は、背後に回って裏面を鑑賞することができます。ぜひあなたも、作品の中に入り込んで下さい。

もうひとつの目玉作品である星野曉(ほしの・さとる)の「アーチ形の輪郭の中でIV」は、土の上に作家の指の痕跡が残る黒陶作品。土という物質と人間の身体との格闘の軌跡です。作品の表面に無数に並んだ指の痕跡が異様な迫力を持って見る者に迫ってきます。
その他にも、素材の物質感を強調した迫力ある作品がいっぱい。この機会にぜひ本展示をご観覧下さい。


■常設展示日本美術院の作家たち」 9月4日(火)−10月28日(日)
■常設展示「物質(モノ)への挑戦」 9月4日(火)−12月16日(日)
観覧料(共通):一般 450円(360円)、高大生 250円(200円)、小中生 無料
( )内は20名以上の団体料金。
※企画展の観覧券で常設展もご覧いただけます。