たいけんびじゅつかん「偶然を見つけよう!」を開催しました。

たいけんびじゅつかん「偶然を見つけよう!」を7月14日(日)・28日(日)に開催し、大人と子ども合わせて26人に参加いただきました。
(協力:ソニーマーケティング株式会社)



滋賀県立近代美術館の子ども向けプログラム「たいけんびじゅつかん」は平成14年度より始まり、今年で12年目を迎えます。「美術館をもっと身近に」をコンセプトに、小中学生と保護者を対象に月に1回、作品解説と鑑賞をより深めるためのワークショップを行っています。



これまでの「たいけんびじゅつかん」では、企画展または常設展に付随する形として開催してきました。今回は「たいけんびじゅつかん特別展」と称し、若手美術家の飯川雄大さんによるワークショップと展覧会の同時開催を試みました。本企画は、一般の人に新たな視点でアートに触れる機会を作ることと、より多くの人に「たいけんびじゅつかん」を知ってもらうことが目的となっています。作家自身が何を考え、どんな方法で何を伝えようとしているのかを感じてもらい、展覧会とワークショップを通じて、作品・作家と参加者・鑑賞者をつなげました。


講師である美術家の飯川雄大さんは、日々の生活で見過ごしてしまうようなモノや風景の潜在的な魅力を掘り起こし、人々の感覚のズレや記憶の曖昧さを写真や映像で表現しています。

そんな飯川さんの作品を追体験する今回の映像ワークショップ「偶然を見つけよう!」では、自然に潜む「偶然の出来事」や「何もおこらない時間」の撮影にみんなで挑戦しました。
まずは飯川さんからビデオカメラの使い方と映像作品の作り方をレクチャーしていただきました。


「偶然」とは「予期していないことが起こること」という意味なので、「偶然」を「見つける」ことは、よく考えると矛盾しているようです。ですが、いろんなものは自分の時間を持っていて、人には人の、犬には犬の、木には木のリズムがあります。それぞれが別の時間を持ちながら、ある時偶然に重なる時間をビデオカメラに収めようとするのが「偶然を見つける」ということなのだそうです。


「日常の風景をフレームで切り取ることで、見えてくるものがある。」という飯川さんの言葉により、参加者はビデオカメラを片手に美術館周辺の緑 あふれる文化ゾーンへ出発しました。


 カメラを動かさずに同じ場所を撮影し続けるという体験は全員が初めて。最初は、何を撮影しようか、本当に偶然は見つかるのかという戸惑いがありましたが、次第に集中していき、池や森や空など思い思いの場所にカメラを向けて固定し、約5分間じっと映像を撮り続けました。


撮影場所が決まったら、できるだけカメラを動かさずに撮影します。



ずっとカメラを手で固定するのは大変です。



子どもだけでなく大人も「偶然」をキャッチしようと真剣です。


何かおもしろいものは見つかったかな?



撮影終了後は、飯川さんの作品を全員で鑑賞しました。



参加者のみなさんが撮影したのは5分間でしたが、飯川さんの作品は24時間撮影し続けたものです。
これにはみんなびっくり!


飯川さんの作品も、何気ない日常の「偶然の出来事」や「何もおこらない時間」を捕らえています。ずっと鑑賞していると些細な出来事でも変化があると、その時間が特別なものに思えていきます。

最後は、撮影した映像の中から好きなものを一つ選び、全員の作品を鑑賞しました。



参加者の作品の中には、池を撮影し続けていると鯉や亀がどんどん集まってくる「偶然の出来事」もあれば、森を撮影し続けても「何もおこらない時間」もありました。

「偶然がおきても、おきなくてもそれでいい。」という飯川さんは、作品を通じて全ての時間を肯定しているようでした。今回のワークショップでは、何でもない日常に新たな魅力を見出し、特別な時間にする不思議な体験となりました。

参加者全員の映像作品は、飯川さんが編集して1つの作品にまとめました。その作品をDVDにして、参加者全員にお送りしました。



次回のたいけんびじゅつかんは、11月9日(土)開催予定の「大津絵キャラに大変身」です。
「大津絵」は江戸時代の始め頃から描かれた、郷土(大津)の名産品で、「鬼の念仏」や「藤娘」など豊富なキャラクターたちが登場するのも人気の特徴です。みんなで大津絵キャラのかぶり物を作って大変身してみませんか?背景や衣装をつかった撮影会をするので、自分自身が大津絵になれますよ。今回は、成安造形大学講師でアーティストでもある宇野君平さんをお招きします。


企画展「柳宗悦展」を当館学芸員の解説とともに鑑賞します。
応募締切は10月28日(月)必着です。
 ※材料費一人500円が必要です。
このイベントについて詳しくはこちらまで。皆様のご応募お待ちしております。