アートゲームについて その7

《いつでも・どこでも・誰でも》実施できるユニークなワークショップ「アートゲーム」を紹介するシリーズの第7回です。今回紹介するゲームは『○×(マルバツ)ゲーム』。

このゲームは、はがき大の小型図版よりも、A4判以上の大型図版を使った方がスムーズに行えます。予算に余裕があれば、絵はがき図版を拡大カラーコピーで引き伸ばして使用して下さい。

このゲームは、1人対その他の全員というかたちで行います。作品カードの中からあらかじめ、テーマが似通った図版(人物画ばかりとか、風景画ばかりとかいったジャンル別に分けておくと良いでしょう)を8枚から12枚ほど選んで、順に番号をふり、全員がよく見える場所に並べて置きます。

プレイヤーの中からジャンケンで選ばれた代表1名が、そのうちの1枚だけを他のプレイヤーに気付かれないよう心の中で選びます。他のプレイヤーは代表に質問をして、代表が選んだ図版がどれかを当てて下さい。

代表への質問は必ず「○か×か」で答えられるかたちにして下さい。「あなたが見ている図版は男ですか?」ならOKですが、「男ですか女ですか?」という質問だと○×で答えられないのでルール違反となります。
質問された代表は、それに対し○か×で答えて下さい。あらかじめ「○」と「×」のプラカードを作っておいても良いし、手で大きく○か×のかたちを作るのでも構いません。○か×以外の言葉は、喋ってはいけません。顔の表情でバレるのが不安なら、他のプレイヤーに背中を向けて図版だけを見ながら答えてもらっても良いでしょう。

だいたい3,4回の質問で、代表が選んだ図版を当てることができるはずです。代表を交替したり、図版を適宜取り換えたりして遊んで下さい。このゲームは「作品の細部を比較し、その特徴を的確な言葉で抽出する」という訓練になります。

なおこのゲームの変形版として、全員が同時に実施する方法もあります。プレイヤーたちの前に掲示した大型の図版と同じものをたくさん複製しておき、その中の1枚を(当人には図柄がわからないようにしながら)各プレイヤーの背中に貼り付けるのです。背中の図版は自分には見えなくて、他のメンバーには見えるようにして下さい。

各プレイヤーは歩き回って、周囲のメンバーに「○×で答えられる」質問をし、自分の背中の図版を当てなければなりません。「僕の背中の図版は、帽子をかぶっていますか?」といったふうに。誰に何回質問しても構いませんが、制限時間(だいたい5分から10分)は守って下さい。また質問されたプレイヤーは、決して嘘をつかないようにして下さい。背中の図版がわかった者はその場に座るようにしておくと、進行状況がはっきりわかるので便利です。

全員が無事に座ったら、順に背中の図版の答え合わせをして下さい。間違う者もいるでしょうが、どこでどうして間違えたのか、自分が行った質問を振り返って確かめるようにすると失敗は無駄になりません。
このゲーム、子どもが行うと100%近い正答率になりますが、大人だと80%くらいでだいたい5人に一人が間違えます。自分の注意力がどれくらい散漫になっているのか、ゲームを通して確かめてみると面白いですよ。