「ウツクシマツ」を見たことがありますか?


あなたは国指定の天然記念物「ウツクシマツ」を知っていますか?
滋賀県湖南市(旧・甲賀郡甲西町)にある標高226.6mの美松山(びしょうざん)に自生するアカマツの変種で、日本ではここにしか自生していない珍しいマツです。
平安時代、藤原頼平(よりひら)という公家が静養のためにこの地を訪れたとき、突然乙女が松の間から舞い出て「京都の松尾明神さまから命じられて頼平さまのお供をして参りました」と告げました。驚いた頼平が辺りの山を見渡すと、不思議なことに周囲の雑木林がすべて、みるみる美しい松に姿を変えたという伝説が伝わっています。
東海道からもほど近い場所なので、江戸時代には街道を旅する人々が寄り道ついでに訪れてその姿を愛でたため、全国的に有名になったということです。
このマツには主幹がなく、1本の根から枝が地表近くで放射状に分かれ、まるで傘を逆さにしたような特異な形態をしています。今もこの山の南西斜面一帯には約200本の大小の美松が群生しており、その一部は県内の公園に移植されて人々の目を楽しませています。

そのウツクシマツの株が数本、美術館が位置する文化ゾーンにも移植されているのをご存知でしょうか? 文化ゾーンバス停から美術館に向かう道の途中、ほぼまん中に大小3本のウツクシマツが枝を大きく広げているのを見ることができます。
説明板も近くにありますので、文化ゾーンを訪れた際にはぜひ、東海道の旅人のようにこのマツの姿を目に留めてからお帰り下さいね。