夏休み子どもイベント「アートなサファリたんけんたい」レポート


当館は1993年から毎年夏休みに、子ども向けのワークショップイベント「びっくりミュージアム」を開催しています。これはふだん教室や家庭ではできないような大掛かりなアート体験をしてもらおうと、豊富な材料を用いて作品制作を行ったり、スタッフと共に美術館探検や展示品観察などの集団ワークショップを行ったりするもので、毎月開催しているワークショップ「たいけんびじゅつかん」とはまた違ったアート体験ができる機会として毎回好評をいただいています。
今年の「びっくりミュージアム」は、大掛かりな作品制作と鑑賞ワークショップの2種類を開催いたしました。8月7日(土)・8日(日)の2回実施した「ぼくらのジオラマート」に引き続き、今回のブログでは8月11日(水)・12日(木)に実施した「アートなサファリたんけんたい」の内容をレポートさせていただきます。

このイベントは常設展示室で開催中の『アートのぶつブツえん』に展示されている、動物を表現したアートの数々を楽しく鑑賞して回ろうというワークショップでした。参加した子どもたちは、8月11日(水)27名、12日(木)24名の計51名でした。台風4号の襲来にもかかわらず、たくさんの子どもたちがやって来てくれました。

イベントが始まると、まずいつものアート博士が子どもたちに、《作品をよく観察する》《いろいろ想像する》《みんなで話し合う》の3つの極意を伝授いたします。そして4つのグループに分かれて、現地のガイドさん(解説ボランティアのサポーター)の案内により会場を回ります。



ここでガイドさんたちが実施したのは、サポーター有志が研修中の「対話型ギャラリートーク」。一方通行的に話すのではなく、子どもたちに質問したり感想を引き出したり、互いのコミュニケーションの中で作品を鑑賞してゆきます。意外な意見が出てきたりみんなで観察することで新しい発見があったり、子どもたちにとってもサポーターにとっても、非常に有意義なひとときでした。

ガイドさんによるツアーが終わってロビーに集合した子どもたちに、急展開が訪れます。かの悪名高き「怪盗ルパンダ」が、美術館に隠されているという「伝説の大海賊・フックマ船長」の財宝を狙って現れたのです。ルパンダは財宝のありかを示す暗号を手に入れたものの、肝心なところが読めないでいます。そこで子どもたちに作品をよく観察することで、欠けたキーワードを手にいれてもらおうというのです。



ルパンダの挑戦を受けた子どもたちは4つの班に分かれて、ルパンダが出題した「作品鑑賞ゲーム」に挑みました。《作品をよく観察する》《いろいろ想像する》《みんなで話し合う》の各班3つの設問を見事クリアした子どもたちは、講堂に戻り、4班みんなで答え合わせを行います。
全部で12の設問すべてに答えると、キーワードが手に入り、フックマ船長の財宝のありかがわかります。怪盗ルパンダを出し抜いて、館内に隠された子どもたちが財宝を見つけて講堂に持ち帰ってきました。

実はフックマ船長の財宝とは、彼の右肩に止まっている金色の不死鳥(実はルーマニアの彫刻家ブランクーシ作の「マイアストラ」という立体作品)を、子どもたちの手で甦らせるというものでした。見つけた4種類の財宝、即ち土台となる筒、翼の型紙、背景となるミラーシート、そして羽根を飾り立てる様々な飾り紙の4種類をうまく使えば、フックマ船長の肩に留まっているようなキラキラの素敵な鳥の立体造形を作ることができるのです。

最後に子どもたちは、ふんだんに用意された材料を用いて、自分だけのユニークな「キラキラ鳥の立体造形制作」に挑みました。翼の型紙には小鳥の翼からドラゴンの翼までさまざまなものが用意されており、それを土台の筒に取り付ければ鳥のかたちが出来上がります。糸をひけば翼が動くような仕掛けを作ることも可能です。


次にさまざまな色紙、ホイル紙、モール、カラー針金などを駆使して、鳥の羽毛や尾羽根などを作ってゆきます。


スタッフのアドバイスを受けながら、子どもたちは午後2時45分頃から4時45分頃まで2時間をフルに使って、思い思いのキラキラ鳥の制作を行いました。羽根の模様、頭のかたち、尾羽根の装飾など、こだわりがいっぱいの楽しい作品が続々と出来上がりました。ここでは完成作品のほんの一部をご紹介いたしましょう。



平成22年度の「びっくりミュージアム」の日程はこれで終了いたしました。来年また、多くの子どもたちが参加されることを期待しています。