美術館講座「湖国画人伝」受講者募集のお知らせ

美術館講座は、美術の歴史や作品の見方、制作技法などについて、わかりやすく解説する催しです。毎年春と秋の2回、それぞれ異なったテーマを設けて、連続講座形式で実施しています。
第 51回目となる今回の美術館講座は「湖国画人伝」と題し、湖国が生んだ近世の画家二人、高田敬輔(たかだ・けいほ)と横井金谷(よこい・きんこく)に焦点を当ててその生涯と画業をご紹介いたします。知られざる近江ゆかりの画家の生涯を通して、江戸時代の日本絵画の一展望を試みたいと思います。

高田敬輔(たかだ・けいほ)は江戸時代中期の画人で、近江国日野の出身です。京狩野第四代の狩野永敬(かのう・えいけい)に学び、師の没後は仁和寺(にんなじ)門跡に重用され、江戸にも進出して将軍の膝元で名をあげる一方、故郷に戻り多くの弟子を育成しました。その中には関東に店舗を持つ日野商人たちも含まれ、彼らがまた関東で弟子を育成しました。近江商人が江戸の文人サークルの育成に果たした役割について考える時、高田敬輔の存在は極めて重要であると言えましょう。また近世の奇想の画家として近年評価が高まっている曾我蕭白(そが・しょうはく)も、敬輔の絵に学んだと考えられます。上の写真は代表作のひとつ「山水図」。狩野派の伝統を引き継ぎながらも独自の世界を築き上げています。

一方の横井金谷(よこい・きんこく)は近江国下笠村(現草津市)に生まれた江戸時代後期の文人画家で、浄土宗の僧侶でもあります。与謝蕪村(よさ・ぶそん)に大きな影響を受けており、蕪村門下の紀楳亭(き・ばいてい)と共に《近江蕪村》と呼ばれています。山伏となって中京・中国地方を放浪し、63歳で大津の坂本に住居を定め、草庵「常楽房」を営んで没するまでそこで暮らしました。放浪と奇行の人生を送った破天荒なアウトサイダーでしたが、その作風は私淑した与謝蕪村の作風を伝える一方、山伏として実体験した自然の雄大さを描き出し、近世の文人画壇を考えるときに欠くことができない存在です。上の写真は「汲清泉闘茗図(きゅうせいせんとうみょうず)」(滋賀県立近代美術館蔵)。闘茗(とうみょう)とはお茶を飲んでその産地を当てるゲームのことです。のどかな山奥で清水を汲んで闘茗を行う文人たちの姿が、味のある筆遣いで描かれています。


■開催日時:2011年 6月12日(日) 午前10時半−午後3時
■講座内容「湖国画人伝」
・午前10時半〜12時 第1講『高田敬輔』
・午後1時半〜3時 第2講『横井金谷』
■講 師:國賀 由美子(当館主任学芸員
■受講料:無料
■会 場:滋賀県立近代美術館 2階ワークショップルーム
■定 員:40名

■申し込み方法
★郵便往復ハガキの場合(1)住所、(2)氏名(ふりがなも)、(3)電話番号を明記の上、5月22日(日)までに(必着)下記までお申し込みください。電話による申し込みは受け付けませんので、ご注意ください。
受講決定者には締め切り終了後、折り返しその旨を通知いたします。なお、受講希望者が定員を超えた場合、やむを得ず抽選で受講者の決定を行いますので、あらかじめご了承ください。
申し込み先  〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740−1
滋賀県立近代美術館「美術館講座」係
★インターネットの場合
美術館講座受講申込みフォームをご利用ください。
■応募締切:2011年 5月22日(日)(必着)