「わたし流・作品スケッチ大会」の後半を開催いたしました


常設展示室の作品を自由に模写し、ユニークな作品に仕上げてもらうイベント「わたし流・作品スケッチ大会」。その後半を、7月17日(日)・18日(月・祝)の2日間にわたり開催いたしました。17日は28名、18日は23名の子どもたちが参加し、思い思いの名画を楽しいオリジナルの作品に生まれ変わらせてくれました。
最終的に、4日間で合計81名もの子どもたちの作品が出来上がりました。この中から応募があった作品は8月9日(火)から21日(日)まで、ギャラリー展示室(入場無料)において展示し、優秀作品は21日(日)に表彰いたします。ぜひ皆さまも、子どもたちのフレッシュな感性がどのように美術作品を捉え、どのように新しい作品へと生まれ変わらせたのか、ご観覧いただきたいと思います。

さて本イベントの模様は先週もこのブログでご紹介いたしましたので、今回は趣向を変えて、この4日間のイベントにおいて、常設展示室のどの作品が子どもたちに人気があったのか、ベスト5をご紹介してゆきたいと思います。


【第5位】


まず人気第5位は、米原市出身の山形博導(やまがた・ひろみち、ヒロ・ヤマガタ)の「四つの都市−ロサンザルス、パリ、東京、ニューヨーク−」。小品ながら絵の中の細かいところに気付くと楽しい仕掛けが隠された、いかにも子どもの関心を引きそうな作品です。一時期流行した「ウォーリーをさがせ!」のような観賞の仕方ができるのも人気の秘密でしょうか。4つの都市をそれぞれフィーチャーした4枚の作品それぞれに人気がありましたが、特にキングコングがニューヨーク観光の途中でエンパイヤステートビルのてっぺんに登って大暴れする「ニューヨーク」が、男の子を中心に大人気でした。さてさて、これらの街がいったいどんな作品に生まれ変わったのでしょうか。


【第4位】


人気第4位は、和紙の街・福井県今立出身の角喜代則(かど・きよのり)の「森の妖精」。張り子の要領で和紙や新聞紙を重ね貼りして作られた、木材のような質感の巨大なオブジェです。見る人によって三角帽子の妖精さんにも、キノコのようにもカラカサお化けのようにも見えるユニークな作品。子どもたちもわけがわからないまま作品のインパクトに圧倒され、こっそり自分の描いた絵の片隅に登場させるというパターンが多かったようです。


【第3位】


人気第3位は、小倉遊亀コーナーにずらり飾られている、大津市出身の日本画家・小倉遊亀(おぐら・ゆき)が描く華麗な花々の絵でした。特に女の子たちが、さまざまな花の絵を次々と組み合わせ巧みに合体させて、花に囲まれたハッピーな雰囲気の絵を仕上げてくれました。特にどの作品に人気が集中するということはなく、まんべんなく取り上げられることが多かったのも特徴でしょうか。


【第2位】




人気第2位は同率順位で2点。院展の画家である小茂田青樹(おもだ・せいじゅ)が、琳派風の様式化されたタッチで可愛いシカの親子を描いた「母子鹿」と、滋賀県出身で山元春挙に師事し、戦後は院展に出品を続けた斎藤紫山(さいとう・しざん)の爽やかな作品「夏野」です。後者には仲睦まじいヤギの親子が描かれています。いずれも、愛らしい動物の姿を題材としているためか、男女問わず子どもたちの人気が集まり、リアルなタッチのものからメルヘン調のものまで、様々な作品に生まれ変わりました。


【第1位】


そして人気第1位は、虹の画家と呼ばれる靉嘔(あいおう)がジャンケンの「グー・チョキ・パー」をモチーフに描いた版画作品「ジャン・ケン・ポン・ピース・サイン」計3点でした。この作品をそのまま題材にした子どもたちの絵も多かったのですが、虹色の色彩だけを借りてきて別のものを虹色で塗ってみるという発想に繋がるなど、本当に多くの子どもたちにインスピレーションを与えることに繋がったようです。

これらの作品の他にも、多くの作品が子どもたちの手によってユニークな絵に生まれ変わりました。いったいどんな作品が生まれたのか、それはぜひ、8月9日から始まる作品展の場でお確かめいただきたいと思います。


『わたし流・作品スケッチ大会作品展』
◆会 場:滋賀県立近代美術館ギャラリー
◆会 期:8月9日(火)—8月21日(日)
◆休館日:8月15日(月) この日を除いてお盆期間中はずっと開館しています。
◆入場料:無料
◆備 考:8月3日(水)・4日(木)開催のワークショップ「小鳥がかくれた森をつくろう」の完成作品も同時に展示いたします。