平成23年度「わたし流・作品スケッチ大会」審査結果発表


常設展示室に展示中の作品を、子どもたちに自由に模写してもらう夏のイベント「生まれ変われ名画 わたし流・作品スケッチ大会」。今年は7月9日(土)・10日(日)・17日(日)・18日(月・祝)の4日間にわたり開催し、82名の小学生および幼児の参加がありました。

これらの参加者から応募いただいた79点の作品は、8月9日(火)から21日(日)まで、当館のギャラリー展示室で展示いたします。これに先立ち、美術館のスタッフによって優秀作品の審査を行い、以下に挙げる7点の作品の入選が決定いたしました。

見事グランプリを受賞したのは、坂口瑠弥さん(小2)の作品『よるのふじさん』でした。

山元春挙の「富士二題」をメインに、茨木杉風「近江八景」の中に描かれている橋や、靉嘔「ジャン・ケン・ポン・ピース・サイン1」、平林薫「五十一音・平仮名3」、フランク・ステラ「イスファハーン」など多くの作品をうまく取り込んで、夜のお祭りのような楽しい作品に仕上げてくれました。富士山の頂きに積もっている雪を和紙をちぎり絵の要領で貼って表現するなど、細かいところに対する工夫も評価されたようです。

準グランプリは、松前早紀さん(小3)の『しかの仲よし親子』。小茂田青樹の「母子鹿」からそのまま鹿の母子を引用してきつつ、統一感のあるタッチで独自の作品に高めています。鹿の背中の模様や木々の葉っぱの表現もユニークです。


技術的に優れた作品に送られる「テクニック賞」、今年の受賞は次の2人でした。

中川裕介(小6)くんの『たぬき』は、信楽焼のタヌキを描いた小松均の「夜雨の客」をメインモチーフにしながらも、常設展示室に飾られている数十点の作品のパーツをコラージュのようにタヌキの身体に見事にはめ込み、摩訶不思議な作品を作り上げました。

一方で蔦野朱里さん(小2)の『あきのふじ山』は、山元春挙の「富士二題(秋晴れ)」1点をモチーフに、原画に描かれていた里山の暖かい暮らしを自分なりにアレンジして楽しい作品に仕上げています。銀色のラメ絵具で表現された雪の輝き、虹色に塗られたイヌなど、細部も凝っています。


ユニークで楽しい表現に与えられる「ユニーク賞」の受賞は、次の3人でした。

伴菊香さん(小2)の『2011のおしゃれなたぬき』は、小松均の「夜雨の客」を女の子らしい感性で可愛らしく仕上げた作品。お酒の代わりにペットボトルのお茶を持っていたり、赤い鼻緒の草履を履いていたりと、細部のアレンジが効いています。

次点となった水谷想(小2)くんの『にじ色ぼくじょう』は、靉嘔の虹色の作品にインスパイヤされて、ヤギを描いた2つの作品−斎藤紫山の「夏野」と山口華楊の「山羊」−を独自にアレンジしたもの。虹色のヤギという奇抜な表現だけでなく、太陽の装飾的で不思議な表現なども評価されたようです。

同じく次点となった伴鼓太郎(小4)くんの『ジャンプ失敗』は、冨田溪仙の「遊鹿図」をもとに、自らの体験をふまえたのかユーモラスなエピソードに仕上げた作品。シンプルで力強く、わかりやすい表現と、コラージュを用いた楽しい表現が評価されたようです。


これら優秀作を含む79点の作品は、8月9日(火)から21日(日)まで、ギャラリー展示室で展示いたします。子どもたちの新鮮な感性に溢れた作品群を、ぜひご覧下さい。