新しい小倉遊亀作品の寄託を受けました


このたび滋賀県立近代美術館に、県立大津高等学校同窓会より、大津市出身の近代日本画の巨匠小倉遊亀(おぐら・ゆき)・画伯の作品「瓶花(へいか)」が寄託されることになりました。

本作品はもともと、小倉遊亀が昭和47年の大津高校落成式に合わせて制作し、同校同窓会に寄贈したものなのですが、このたび同校同窓会より「県立近代美術館で管理し、多くの県民の皆さんに見ていただきたい」と、当美術館に対し寄託の申し出がありました。

そこで本日、平成24年2月17日(金)に当美術館において作品の寄託式を行い、明日2月18日(土)から、常設展示室の「小倉遊亀コーナー」において展示することになりました。


小倉遊亀の後期静物画の中でも、院展出品作に負けないくらい力のこもった秀作です。ぜひ多くの皆さまにご鑑賞いただきたいと思います。

■展示期間:平成24年2月18日(土)─4月1日(日) 
■展示室:常設展示室・小倉遊亀コーナー
■作品データ:
  小倉遊亀(おぐら・ゆき) 「瓶花(へいか)」
  1面  紙本金地著色  縦42.2×横51.0cm  昭和47年(1972年)作
  滋賀県立大津高等学校同窓会蔵

小倉遊亀が、昭和47年の大津高校落成式に合わせて制作し、同校同窓会に寄贈した作品です。
大輪の椿が紅白、そして未だ青いつぼみをともなって、毅然と優雅に咲き誇る姿が、金地の画面に描かれています。椿は遊亀が愛し描いた草花のひとつであり、遊亀宅の季節の庭を飾っていました。
椿が生けられているのは、先輩の日本画小林古径が愛蔵した古九谷(こくたに)徳利であり、遊亀が譲り受けたものです。遊亀は「何度描いても描きつくせない味」があるといい、古径も自らの作品に描いた逸品です。
遊亀の古陶器への愛好は、師の安田靫彦の影響によります。草花に陶器が添えられることで、遊亀の静物画には何とも言えない深みが加わりました。この作品では古九谷のあたたかな質感が画面の中央で、天衣無縫な椿を支えています。