企画展「日本絵画 組み合わせの美」予告


掛け軸・絵巻物・屏風・襖絵…と、実にバラエティ豊かな形態を誇る日本の絵画。さらにそれらをよく見ていくと、2点・3点、あるいはそれ以上の点数がセットになり「組み合わせ」て鑑賞する作品が多いことに気づかされます。

たとえば上の作品、岸竹堂(きしちくどう)(1826-1897)の屏風「保津峡図」(1892年)のように、2枚の屏風を左右を合わせて鑑賞することで、まるで眼前に迫るような荒々しい保津川の流れと雄大な渓谷のパノラマが出現する作品があります。

また上の作品、北野恒富(きたのつねとみ)(1880-1947)の対で制作された美人画「暖か」(左)「鏡の前」(右)(ともに1915年)のように、着物の色・女性のポーズとも異なる2面を並べることで、色彩や構図的な対比の面白さはもちろん、鑑賞者にさまざまなドラマを感じさせたりと、「組み合わせ」の作品には1つの画面で完結する作品とはまた異なる表現や創意工夫を見いだすことができると言えます。
また季節の移ろいを感じさせる四季や十二ヶ月、あるいは近江八景のような景勝を描くために、何枚・何面もの絵が「組み合わせ」られている場合は、それぞれの画面に個性を持たせながらも、いかに全体のバランスを取って1つの作品としてまとめられているかがひとつの注目ポイントと言えるでしょう。
そんな「組み合わせ」の面白さにスポットを当てた本展では、当館所蔵の屏風や掛軸を中心に「一双」「一対」「揃い」など、1点だけでは完結しない日本絵画の作品24点をご紹介します。本展が、日本絵画の持つユニークな形態と表現に改めて注目していただく機会になれば幸いです。


企画展示『日本絵画 組み合わせの美』

■会期=平成24(2012)年 4月14日(土)─6月3日(日)
■休館日=毎週月曜日(ただし4月30日(月)は開館、翌5月1日(火)は休館)
■観覧料=一般750円(550円)・高大生500円(400円)・小中生300円(250円)
      ※( )内は前売及び20名以上の団体料金
■展示内容=館蔵品の中から屏風・掛軸を中心に 日本絵画 24点

■関連の催し=
ギャラリートーク(展覧会場において、当館学芸員が作品解説をおこないます)(申込不要)
 日時=4月14日(土)・15日(日)・22日(日) 各日とも13:00─13:45
 参加費=無料(要観覧券)
※会期中、ギャラリートーク開催日以外の開館日は、13:00より美術館サポーターによる鑑賞ツアー(無料・要観覧券)を実施しています。

たいけんびじゅつかん 日本画を描こう (事前申込制)
 対象=小中学生とその保護者対象
 日時=5月20日(日) 13:30─16:30
 会場=当館ワークショップルーム
 講師=当館嘱託職員
 材料費=300円(保護者の方は別途観覧券も必要です)

名画でびっくりコラージュ (申込不要)
 日時=平成24年5月3日(木・祝)・4日(金・祝)・5日(土・祝)・6日(日)
     いずれも10:00〜15:00(この時間内ならいつでも参加できます。所要時間約20分)
 会場=当館エントランスホール
 参加費=無料

滋賀県立近代美術館友の会協賛事業 近江由縁落語会(おうみゆかりのらくごかい)
 内容=本展覧会に出品される景勝図「近江八景」にちなみ、落語「近江八景」ほか、滋賀県ゆかりのお話などをお届けする落語会です。
 日時=5月13日(日) 14:00─15:00
 会場=ふらみんご亭(当館講堂) 
 出演=林家 染雀
 参加費=無料  定員=150名
 ※事前申込は不要ですが、混雑が予想されるため当日12時より整理券を配付します