「春休み美術館まつり」レポート


さる3月24日(土)・25日(日)・31日(土)・4月1日(日)の4日間、当館では「春休み美術館まつり」と題してさまざまなワークショップイベントを実施いたしました。その結果をレポートさせていただきます。
「春休み美術館まつり」は企画展が開催されていない時期の美術館を盛り上げようと、美術館サポーターが主体となって開催した連続イベントです。子どもも大人も美術館をまるごと楽しんでもらおうと4日間のうちに6種類のイベントが次々と行われました。
けれども4日のうち3日間は3月末とは思えないほど肌寒いうえに雨模様の天気。しかも3月31日はどしゃ降りの雨にたたられてしまいました。ようやく晴れた4月1日は久しぶりの行楽日和だったせいか、みな遠方に出掛けてしまったのでしょうか。31日よりも来館者が少なくてスタッフも拍子抜けしてしまいました。
そんな天候に恵まれない時期の開催でしたが、熱心なお客さまたちは待ち構えたように美術館を訪れて下さり、スタッフとともに十二分に美術館を楽しまれた様子。その模様をイベントごとにご紹介してゆきましょう。


まず3月24日(土)。この日は午後から、未就学児を対象にした美術入門編のイベント「はじめてアートであそぼ!」と、小学生以上が対象のミュージアムオリエンテーリングのイベント「美術館のうらがわ探検ツアー」が並行して実施されました。


講堂で実施した「はじめてアートであそぼ!」は、昨年の夏休みに次いで2度目の開催。今回もカードや大型図版を使ったアートゲームを、2歳から5歳までの幼児15名とその保護者が楽しみました。今回は「かるたゲーム」や「ジャンケンゲーム」「ジェスチャーゲーム」に加えて、新たに「にらめっこゲーム」も用意しました。身体全体で楽しむアートに、どの子もみな夢中。特にかるたゲームと、最後まで誰も笑わなかったにらめっこゲームの人気が高かったようです。ゲームの後はアート博士と一緒の作品鑑賞をはさんで、名画を元にしたコラージュ作品作りを実施。今回はバレンタインデーのイベントで使った素材を流用して「おめでとう&ありがとうカード作り」と題し、A5判のコラージュ作品を化粧紙にはさんだメッセージカード作りとして実施しました。どの子どもたちも「お父さんにあげる」「おばあちゃんにあげる」と、カードをプレゼントする相手のことを考えた楽しい作品作りをそれぞれ行なってくれました。通常のコラージュ作りよりも意図がわかりやすいのか、幼い子どもたちには今回の方が作品を作りやすかったみたいです。


一方「美術館のうらがわ探検ツアー」は、小中学生13名とその保護者(見学)を、サポーターが3つのグループに分けて先導し、一般の人は入れない美術館の裏方を次々と回りました。ツアーのコースは各所に設置された、美術館に関するなぞなぞを解きながら探してゆかねばなりません。謎を解いて訪れた先は、美術館に運ばれてきた作品がトラックから下ろされて展示室に移される搬入口、作品がまだ展示されていない企画展示室、作品の写真を撮るスタジオ、作品が眠っている収蔵庫(上の写真上方)、空調機械がわんわん音を立てて動いている機械室(上の写真下方)、館内をカメラやセンサーで監視している警備室、そして美術館のスタッフが働いている事務室など。それぞれの場所ではふだんそこで働いている人々が子どもたちの素朴な質問に答え、次の訪問先のなぞなぞを渡してくれますした。すべての場所を回り終えてワークショップルームに戻ると、最後のなぞなぞが待っています。今まで見て来たことを思い出しながらその謎を解くと、ガチャガチャを回して記念品がもらえました。


3月25日(日)の午後は、ワークショップルームで「私だけの美術館を作ろう」が開催され、大人7名を含む22名が実物の20分の1サイズのミニ美術館作りに挑みました。美術館の展示室になるのは厚さ3ミリの紙貼りスチレンボード。展示室を組み立て終わると、今度は一人300マネーの資本金を持って、その中に飾るミニ作品を購入に出掛けます。スタッフがずらりと拡げたお店には、実物の20分の1サイズの古今東西のミニ作品がいっぱい。どの作品にも5マネーから50マネーほどの値札が付いています。資本金の残高とにらめっこしながら作品を厳選し、購入したら展示室の壁に貼り付けてゆきましょう。単に作品を貼るだけじゃなく、額縁を工夫して作ったり、屏風や立体作品の展示方法も工夫してみましょう。壁や床もきれいに紙を貼り、展示台・ソファなどの什器や、作品を見ている鑑賞者の人形を取り付けたら、ほら、私だけの美術館の完成です。参加者はみな趣向を凝らして、思い思いのテーマで美術館を作ってくれました。


3月31日(土)4月1日(日)は、午前11時から午後2時までは常設展示室で対話型ギャラリートークのイベント「おしゃべり美術館」を開催し、講堂では午後1時と午後3時の2回、美術館が所有する美術に関する16ミリ映画フィルムの上映会「映画de美術館」を開催しました。


「おしゃべり美術館」は既に4回目の開催とあって、スタッフも万全の準備でお客さまの参加を待ち構えていました。ところが天候のせいか、参加者は3月31日が13グループ30名(うち大人18名)、4月1日は10名(うち大人8名)といいう寂しい数字に。けれども参加して下さったお客さまはみな鑑賞の意欲たっぷりで、スタッフが投げ掛ける質問にも素直に答えてくださったり、逆にスタッフを質問で困らせたりと、終始和気あいあいとしたムードで対話型のギャラリートークを進めることができました。


一方の「映画de美術館」。3月31日(土)は「フェルメール─死を呼ぶ陶酔の空間(24分)」と「セザンヌ─その孤独なまなざし(48分)」の2本立て、4月1日(日)は「横山大観─その心とかたち(24分)」と「速水御舟─その壮烈果敢な芸術生涯(24分)」の2本立てで上映を行ないました。残念ながら観客は少なめで、31日が16名、1日が12名でした。けれども「フェルメールの映画と聞いて飛んで来ました」という熱心な方もおられ、観客の皆さまには喜んでいただくことができたようです。


そして3月24日(土)・25日(日)・31日(土)・4月1日(日)の全日程を通じて、エントランスロビーで恒例のイベント「名画でびっくりコラージュ」を開催いたしました。こちらは全日程に渡って参加者がとぎれず、ほどほどの賑わいを見せてくれました。コラージュが作れない小さな子どもたちのためのマジックシールによるお絵描きコーナーも相変わらずの人気でした。なお参加者数は、3月24日が57名、25日が45名、31日が33名、4月1日は53名でした。

サポーターが主導で行った今回のイベント。参加者数が少なめだったのは残念でしたが、どの催しも参加の皆さんにはおおいに楽しんでいただけたようで、スタッフの自信にも繋がったようです。次回の開催が楽しみでなりません。