たいけんびじゅつかん「写真×絵画=?」を開催しました。


たいけんびじゅつかん「写真×絵画=?」を2月24日(日)に開催し、大人と子ども合わせて43人の方が参加されました。

今回のたいけんびじゅつかんは、常設展「写真×(クロス)絵画」と関連したワークショップを行いました。この展覧会では、写真を撮影したものをそのまま作品にするのではなく、写真を絵画の中に取り込んで作品に仕上げる作品が展示されています。


アンディ・ウォーホル《マリリン》
有名人の写真や雑誌に掲載された投稿写真をシルクスクリーンで作品に仕上げています。

ロバート・ラウシェンバーグ《無題》
抽象表現主義風の画面に現実世界の写真イメージを転写した作品です。

森村泰昌《6人の女嫁》
作家自身が過去の名画に扮した写真と、元の絵画の写真図版を合成して一つの作品に仕上げています。

小枝繁明《Dine’s Red and Flowers #7》
被写体とカメラの間に立てたガラス板の上にファインダーを覗きながらペイントし撮影、それを版画にすることで、写真・絵画・版画が一体となった作品を作り出しました。

以上の作家以外の写真や絵画を組み合わせた不思議な作品も並んでいます。


たいけんびじゅつかんでも、写真と絵画を組み合わせた、普通に絵を描いたり、写真を撮ったりするだけではつくることのできない不思議な作品を子どもたちにつくってもらおう!ということで、今回は「写真×絵画=?」と題し、カメラを使わずに写真を撮影する技法「フォトグラム」を使っての作品制作を企画しました。


「フォトグラム」でつくる写真の撮影方法

① 感光紙(※)の上に物体を置きます。


② 太陽の光に当てます。

③ アイロンを当てると、青い画像が浮かび上がってきます。


カメラで撮影した写真はそのまま被写体を撮影する事ができますが、フォトグラムの場合は物体の影を撮影することになります。
今回は物体だけでなく、透明シートに印刷した画像なども組み合わせました。平面と立体が一つの画面に収まり、非現実的な世界が表現できます。
※コピーアートペーパーという青写真(日光写真)で使われる感光紙を使用しました。

大人の中には、子どもの頃日光写真で遊んだという方もいらっしゃると思いますが、子どもたちは、初めてのフォトグラムに興味津々でした。



↑たいけんびじゅつかん特製「フォトグラムボード」を使って挑戦。



↑不思議な黄色い紙(感光紙)を「フォトグラムボード」にはさみます。



↑ペットボトルやプラスチック容器などの透明な物や、草花などの自然の物、虫眼鏡や網などの人工物など様々な素材中から選びます。


↑透明シートには、動物や物のシルエットや当館の所蔵品の画像などがあり、気に入った物を切り取ります。



↑自分の絵を透明シートに描いて、物体と組み合わせることも!



↑水滴も立派な材料になります。どうなるんだろうー?



↑完成するまでどうなるかわかりません。みんなドキドキ。



↑太陽に当てると、物を置いていないところは白くなります。アイロンを当てて、完成!

できあがった作品は、最後全員でプロジェクターを使って鑑賞しました。



↑馬のシルエットをずらして、走っているように表現しています。まるでアニメーション!



↑羽とはさみを使って飛び立った鳥を表現。繊細ですねー。物語を感じます。



↑レースや水玉の布、うさぎやパンダを組み合わせてかわいく仕上がっていますね♬


↑自分自身の手を置いて、作品に取り入れるという発想がユニーク!



↑自分で描いた電車とシルエットの写真を用いて時間旅行を表現しています!

フォトグラムの可能性は、無限大!みんな他の人の作品を観て、こんな風にもできるんだーと、しきりに感心していました。


作品づくりの後は、常設展「写真×(クロス)絵画」を鑑賞しました。どの作品も写真を取り入れていますが、アーティストさんによって全く違ったものになり、どうやってつくったのかなあ?と学芸員の問いかけに、子どもたちは真剣に作品と向き合いながら考えていました。みんな作品づくりも作品鑑賞も楽しんでいる様子でした。

今回のたいけんびじゅつかんは、子どもも大人も夢中になってわくわくしながら、作品づくりに取り組んでいました。終了後のアンケートでは、またやりたい!という感想が本当に多く書かれていました。フォトグラムは奥が深く、企画段階でたくさん作品を作っていても、こんな物がこんな表現になるんだ!と、スタッフも驚きの連続でした。
今後も機会があればまた開催し、子どもたちに新しい表現をどんどん発見して、不思議な世界をつくってもらいたいです。