開館30周年記念収蔵品展「世界の名画と出会う」が始まりました



本日より、滋賀県立近代美術館の開館30周年を記念して開催する館蔵名品展の第1弾『世界の名画と出会う—ピカソマチス、ウォーホルの版画から—』展が始まりました。
本展は当館所蔵の版画作品を展示するもので、ピカソマチスなど20世紀初頭からのヨーロッパの画家たちの作品や、ウォーホル、リキテンシュタインらによるポップ・アートの名作。そして、舟越桂(ふなこし・かつら)、赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)、山形博導(やまがた・ひろみち、ヒロ・ヤマガタ)などよく知られた日本の作家の作品まで、200点以上のバラエティ豊かな版画作品を出展するものです。

展覧会の第一のコーナー《I さまざまな技法》では、木版画や石版画、銅版画、シルクスクリーンなど多種多様な版画技法を、舟越桂(ふなこし・かつら)、安藤真司(あんどう・しんじ)、木村秀樹(きむら・ひでき)、黒崎彰(くろさき・あきら)など、日本の作家の作品を通してご紹介しています。

第二のコーナー《II ピカソマチス》では、抽象絵画の父ワシリー・カンディンスキーや、アンリ・マチスパブロ・ピカソなど20世紀前半のヨーロッパの作家たちの版画作品を中心に展示しています。マチスの「オセアニア」シリーズのような大作の版画作品や、複数制作が可能という点で版画と似た性格を持った鋳造彫刻であるコンスタンティンブランクーシの「空間の鳥」なども展示しています。

第三のコーナー《III ポップ・アート》では、既成のイメージを繰り返しすことによって現代社会の有り様を明るみに出そうとした1960年代ポップ・アートの目論見と、版画による反復の技法のマッチングをテーマに、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインロバート・ラウシェンバーグ、ジム・ダインらの作品を展示しています。

第四のコーナー《IV 抽象表現主義とミニマル・アート》では、ジャクスン・ポロックが抽象表現主義に至る以前の、シュルレアリスム(超現実主義)の影響の強い神話的な主題の版画作品をはじめ、バーネット・ニューマン、リチャード・セラ、フランク・ステラら、1950・60年代のアメリカ現代美術の巨匠たちによる版画作品をご覧いただけます。

最後のコーナー《V 反復する芸術》では、印刷作品ではあるものの「芸術か犯罪か」という議論を呼んだ赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)の「千円札印刷作品」をはじめ、マルセル・デュシャンのが彼の主要作品のミニチュア複製で構成したマルチプル(複数制作)作品であり、彼の芸術の集大成でもある「ヴァリーズ」(旅行用カバン)や、版画家として一般的にも人気の高い池田満寿夫(いけだ・ますお)と山形博導(やまがた・ひろみち、ヒロ・ヤマガタ)の作品などを展示し、版画というジャンルが持つ幅広い魅力をご紹介しています。


近代西洋から現代の日本に至るまでの当館蔵の版画の名品を通じ、近現代美術の流れを概観しながら、紙、布、陶器などさまざまな素材の上に表された版画の多様な技法を楽しんでいただける展覧会です。ぜひご鑑賞ください。


企画展示『世界の名画と出会う —ピカソマチス、ウォーホルの版画から—』

■会期=平成26(2014)年 9月6日(土)─9月28日(日)
■開館時間=9時30分─17時(入館は16時30分まで) 
■休館日=月曜日(9月15日(月・祝)は開館、翌16日(火)休館))
■観覧料=一般800円(600円)・高大生500円(400円)・小中生300円(250円)
     ※( )内は、前売および20名以上の団体料金
◆毎日、午後1時から美術館サポーターによる解説を行います。