「江戸へようこそ!浮世絵に描かれた子どもたち」展 開催のお知らせ


浮世絵には、子どもをめぐる江戸文化のあり方を伝えてくれる作品が少なくありません。美人、役者、風景を代表主題として認識することの多い浮世絵ですが、子どもを題材とした浮世絵もまた重要な分野であり、大きな需要があったことは特筆すべきでしょう。
親は子を宝として守り育て、ふれあいを大切にし、心づくしの玩具や屋内外での遊びの機会を与えました。一方で、寺子屋での学習や諸芸の稽古事にも熱心で、江戸の子どもたちは十分な教育を受けることができました。注目すべきことは、これらの子どもを巡る光景がありきたりの日常であったにも関わらず、絵の主題となり、それを購買する人が多くいたという点です。幕末・明治期に来日した多くの外国人が、日本の子どもが非常に大切にされ、幸福そうにしていることを印象深く書き残し、日本を「子どものパラダイス」とさえ評しています。子どもたちを無条件に愛し、守るべき愛らしい存在として描いてきた浮世絵は、美術的価値ばかりでなく、親が子どもを守り育てる本来のあり方を示してくれているようでもあります。
本展覧会では、I子どもへの愛情、II子どもの成長を願う、III江戸は教育熱心、IV 遊び好き・いたずら好き、V キッズ大行進―やつし絵・見立絵―、VI 子どもの好きなお話、という6つのコーナーに分け、公文教育研究会所蔵の子ども浮世絵コレクションを中心に約300点を展示します。
また、江戸時代の近江の子どもたちの暮らしや学びの一端を窺い知ることができる資料も合わせてご紹介いたします。
※ 会期中に大幅な展示替があります。

▲鈴木春信「夏姿 母と子」 明和4〜5年(1767〜68) 公文教育研究会

▲勝川春章「正一位三囲稲荷大明神」 天明(1781〜89)後期  公文教育研究会

▲歌川豊国「風流てらこ吉書はじめけいこの図(3枚続きのうち左)」 享和4年(1804) 公文教育研究会


企画展示『江戸へようこそ!浮世絵に描かれた子どもたち』
■会期=平成27(2015)年 4月18日(土)─6月7日(日)
 ・前期期間:4月18日(土)─5月10日(日) ・後期期間:5月12日(火)─6月7日(日)
■休館日=毎週月曜日。ただし5月4日(月・祝)は開館し5月7日(木)休館
■観覧料=一般 1000円(800円)・高大生 650円(500円)・小中生 450円(350円) ( )内は前売および20名以上の団体料金
 ※リピーター割引あり。前期展示の観覧券をお持ちの方は後期展示を割引料金で観覧できます。
■主催=滋賀県立近代美術館京都新聞BBCびわ湖放送
■特別協力=公文教育研究会
■企画協力=マンゴスティン
■出品作品=
I 子どもへの愛情
鈴木春信「夏姿 母と子」明和4〜5年(1767〜68)頃、歌川国芳摂津国 擣衣の玉川」弘化4〜嘉永元年(1847-48)、葛飾北斎『絵本狂歌山満多山』享和4年(1804)など
II 子どもの成長を願う
三代歌川豊国「七五三祝ひの図」弘化元年(1844)、勝川春章「婦人風俗十二か月 雛祭」天明(1781〜89)後期〜寛政(1789〜1801)前期、喜多川歌麿端午の節句」享和期(1801〜04)など
III 江戸は教育熱心
歌川豊国「風流てらこ吉書はじめけいこの図」享和4年(1804)、歌川広重「諸芸稽古図会」天保期(1830〜44)、渓斎英泉「子供遊踊尽 今様春駒」天保期(1830〜44)など
IV 遊び好き・いたずら好き
歌川貞虎「隅田堤花盛 子供遊の図」天保期(1830〜44)、歌川芳虎「子供遊び尽し」嘉永期(1848〜54)、二代歌川広重「友寿々女美知具佐数語呂久(ともすずめみちくさすごろく)」万延元年(1860)など
V キッズ大行進―見立絵・やつし絵―
喜多川歌麿「子ども遊び大名行列」寛政期(1789〜1801)、歌川芳藤「子供遊出初之図」安政4年(1857)、歌川国郷「道中豊年子供あそび」安政5年(1858)など
VI 子どもの好きなお話
勝川春山「桃太郎」天明期(1781〜89)頃、歌川豊国「金太郎元服の儀」寛政期(1789〜1801)、歌川国芳「坂田怪童丸」弘化2〜3年(1845〜46)、月岡芳年頼光四天王大江山鬼神退治之図」元治元年(1864)など
  計 約300点