企画展『浮世絵に描かれた子どもたち』いよいよ今週限り


好評開催中の『江戸へようこそ!浮世絵に描かれた子どもたち』展も、いよいよ今週末、6月7日(日)限りとなりました。まだご覧になっておられない方はお急ぎください。
浮世絵には、子どもをめぐる江戸文化のあり方を伝えてくれる作品が少なくありません。美人、役者、風景を代表主題として認識することの多い浮世絵ですが、子どもを題材とした浮世絵もまた重要な分野であり、大きな需要があったことは特筆すべきでしょう。
親は子を宝として守り育て、ふれあいを大切にし、心づくしの玩具や屋内外での遊びの機会を与えました。一方で、寺子屋での学習や諸芸の稽古事にも熱心で、江戸の子どもたちは十分な教育を受けることができました。注目すべきことは、これらの子どもを巡る光景がありきたりの日常であったにも関わらず、絵の主題となり、それを購買する人が多くいたという点です。幕末・明治期に来日した多くの外国人が、日本の子どもが非常に大切にされ、幸福そうにしていることを印象深く書き残し、日本を「子どものパラダイス」とさえ評しています。子どもたちを無条件に愛し、守るべき愛らしい存在として描いてきた浮世絵は、美術的価値ばかりでなく、親が子どもを守り育てる本来のあり方を示してくれているようでもあります。
本展覧会では、I 子どもへの愛情、II 子どもの成長を願う、III 江戸は教育熱心、IV 遊び好き・いたずら好き、V キッズ大行進―やつし絵・見立絵―、VI 子どもの好きなお話、という6つのコーナーに分け、公文教育研究会所蔵の子ども浮世絵コレクションを中心に約300点を展示しています。また、江戸時代の近江の子どもたちの暮らしや学びの一端を窺い知ることができる資料も合わせてご紹介いたしております。

▲鈴木春信「夏姿 母と子」 明和4〜5年(1767〜68) 公文教育研究会

▲勝川春章「正一位三囲稲荷大明神」 天明(1781〜89)後期  公文教育研究会

▲歌川豊国「風流てらこ吉書はじめけいこの図(3枚続きのうち左)」 享和4年(1804) 公文教育研究会


企画展示『江戸へようこそ!浮世絵に描かれた子どもたち』
■会期=平成27(2015)年 4月18日(土)─6月7日(日)
■観覧料=一般 1000円(800円)・高大生 650円(500円)・小中生 450円(350円) ( )内は前売および20名以上の団体料金
 ※リピーター割引あり。前期展示の観覧券をお持ちの方は後期展示を割引料金で観覧できます。
■主催=滋賀県立近代美術館京都新聞BBCびわ湖放送
■特別協力=公文教育研究会
■企画協力=マンゴスティン