初夏の常設展には仕掛けがある!?


6月27日(日)まで開催している初夏の常設展には、面白い仕掛けがあります。
上の写真は常設展を告知するポスターですが、右側にある《日本画・郷土美術部門》の作品写真と、左側にある《現代美術部門》の作品写真を比べてみて下さい。何か気がつくことはないでしょうか?


実は今回展示中の《現代美術部門》の作品の中には、展示中の《日本画・郷土美術部門》の作品を元にして作られた、ユニークなものがあるのです。
《現代美術部門》の今回のテーマは「レスポンスー対話と応答」。これはある作品と、それを元にして(応答するかのように)生まれた別の作品との“関係”を探ろうというものです。

例えばポスターの左上にある福田美蘭の絵画は、その右側にある志村ふくみの紬織着物を、作者自身が着た時の姿を想像して描いた作品です。美術館に作品として収蔵された着物は、ほとんどの場合、人間が着た状態では見ることができない、という美術館の世界の暗黙のルールに、疑問を呈しているかのような作品です。
またポスターの左下にある作品(伊庭靖子の絵画)は、その右にある清水卯一の陶芸作品を元にしています。作者(伊庭靖子)自らこの陶芸作品の写真を撮り、それを元にして光の中に溶けてしまいそうな透明感溢れるタッチで描いています。とても右の作品が元になっているとは思えないのですが、よく見ると同じ作品であることがわかります。


このように今回の展示では、《日本画・郷土美術部門》の作品とそれを元にした《現代美術部門》の作品の、両方を見ることができます。展示室では他にも、今回例に挙げた以外の作品や、当館蔵の現代美術作品を元にした現代美術の作品、他の美術館に収蔵されている有名な作品を元にした作品など、さまざまな「レスポンス」作品をお楽しみいただけます。
あなたもぜひ、展示中の作品の元ネタを探しながら、現代美術の作品を楽しく鑑賞してみませんか?

初夏の常設展は6月27日(日)までの開催。観覧料は一般(おとな)450円(360円)、高大生 250円(200円)、小中生は無料です。( )内は20名以上の団体料金です。