「ロトチェンコ+ステパーノワ−ロシア構成主義のまなざし」展の見どころ紹介 1


今週末、7月3日(土)からいよいよ、夏の企画展示「ロトチェンコ+ステパーノワ−ロシア構成主義のまなざし」展がオープンいたします。そこで今回から数回に分けて、本展の見どころを紹介してゆきたいと思います。
今回はタイトルになっている「構成主義」とは何だったのか、簡単に説明いたしましょう。

20世紀の初め、ヨーロッパのあちこちで芸術革新の動きが起こりました。芸術の都パリではマチスヴラマンクらのフォービスム(野獣派)、そしてピカソやブラックのキュビスム(立体派)が花開き、ドイツではキルヒナーやノルデらの表現主義、そしてカンディンスキーやマルクらによって抽象絵画への道が模索されてゆきます。
ロシアも例外ではありません。1910年代半ば、非対象絵画を極限まで追求したカジミール・マレーヴィチや、鉄やガラスなどの新しい素材に注目したウラジーミル・タトリンらによって、過激な作品が続々と生み出されました。1917年に起こったロシア革命がさらにこの動きに拍車をかけ、芸術家たちは芸術の革命を推し進める一方で、狭い芸術の世界のみに閉じこもることなく、生産の現場と繋がり、積極的に社会と関わり、日常生活のなかに芸術を持ち込もうとして、様々な試みを繰り広げました。こうした動向が「ロシア構成主義」と呼ばれるもので、本展で取り上げるアレクサンドル・ロトチェンコ(1891-1956)とその妻ワルワーラ・ステパーノワ(1894-1958)こそ、その中心的な存在でした。

本展では、ロトチェンコとステパーノワの作品を、「絵画」「グラフィック(ドローイング・版画)」「空間構成」「建築」「デザイン」「演劇」「印刷物(本・ポスター)」そして「写真」の、8つのジャンルに分けて総括的にご紹介いたします。初期から1930年代まで、ロトチェンコが華々しく活躍した時代を俯瞰してみると、構成主義の夢みたものがかい間見えるかも知れません。

「ロトチェンコ+ステパーノワ−ロシア構成主義のまなざし」
会期:7月3日(土)−8月29日(日)
観覧料:一般 950円(750円))、高大生 650円(500円)、小中生 450円(350円)
    ( )内は前売および20名以上の団体料金。
企画展の観覧券で常設展「夏休み子ども美術館」も観覧できます。