「ロトチェンコ+ステパーノワ−ロシア構成主義のまなざし」展の見どころ紹介 2

いよいよ明日7月3日(土)から始まる、「ロトチェンコ+ステパーノワ−ロシア構成主義のまなざし」展。その見どころを紹介するシリーズの、第2回です。今回はロトチェンコの人となりと、その作風についてご紹介いたします。

アレクサンドル・ロトチェンコは1891年、サンクト・ペテルブルグに生まれました。カザン美術学校で学んだ後、1914年モスクワに移り、そこで仲間のタトリンらとともに抽象的な絵画や立体などを発表し、「構成主義」運動の旗手として前衛芸術を積極的に推し進めました。やがて絵画の枠組みに飽き足りなくなったロトチェンコは、1921年に絵画を放棄。その後は詩人マヤコフスキーと共同でポスターを制作し、グラフィックデザインの世界に新風を吹き込んだり、舞台装置、工業デザインなどを手掛けるなど、多方面に渡って活躍しました。また1924年頃から写真の撮影を始め、ユニークな構図で対象を捉えたポートレートや風景写真など多数残しています。

ロトチェンコが手掛けたポスターや雑誌のデザインは、現在の私たちの目から見ても、とても新鮮に映ります。その理由は、ロトチェンコはメッセージをより効果的に伝えるために余分な装飾をはぎとり、制作に必要な要素のみを最小限に絞り込んで、その要素を効果的に使いながらデザインを行ったからです。この方法論は、現在のデザイン技法の基本的な考え方にも通じるものがあります。
ロトチェンコの作品は、現在の美術家、デザイナー、建築家、写真家などに大きな影響を与えています。古いようで新しいロトチェンコの芸術、ぜひあなたもその目で確かめて下さい。


「ロトチェンコ+ステパーノワ−ロシア構成主義のまなざし」
会期:7月3日(土)−8月27日(日)
観覧料:一般 950円(750円))、高大生 650円(500円)、小中生 450円(350円)
    ( )内は前売および20名以上の団体料金。
企画展の観覧券で常設展「夏休み子ども美術館」も観覧できます。

(写真:アレクサンドル・ロトチェンコ「レンギス あらゆる知についての書籍」国立出版社レニングラード支部の広告ポスター
 1924年 厚紙の上の印画紙にグワッシュ、切り取られた紙 プーシキン美術館蔵)