「体験講座・美術館で屏風に親しむ」レポート


4月10日(日)まで企画展示室で開催の『襖と屏風−暮らしを彩る大画面の美−』展は、暮らしを彩る調度として発展してきた襖(ふすま)絵と屏風(びょうぶ)絵の魅力を紹介する展覧会です。はるか白鳳・奈良時代から日本の建築を彩ってきた襖と屏風。けれども明治以降、日本人の生活の洋風化が進み、特に屏風は、一般の人が生活の中で目にする機会がめっきり減ってしまいました。
2月26日(土)に実施した「体験講座・美術館で屏風に親しむ」は、そんな現代の日本人のために、目の前で屏風に触れ、その構造を知り、扱い方を体験してもらおうとするイベントでした。

イベントはまず、2階ワークショップルームで、展覧会の担当学芸員がスライドを用いて講義を行うところから始まりました。通常ならば個々の作品の内容や、作者の生涯などについて解説するところですが、この日は屏風の歴史、構造、修復の方法など、あまり一般の人々に馴染みのない事柄について詳しくお話しいたしました。

講義の後は別室に移動し、本物の屏風(美術作品)に触れながら体験学習を行いました。当館は企画展「襖と屏風」に出展した作品以外にも、たくさんの屏風絵を所蔵しています。その中から解説のために適した作品数点を選び、順番に展示しながら参加者の皆さんに間近で鑑賞してもらい、また取り扱いの基本を学んでいただきました。

二曲一隻(にきょくいっせき)屏風、六曲一双(ろっきょくいっそう)屏風などの基本的な形式や、屏風の一扇ごとに小振りな別々の絵画を貼り付けた押絵貼(おしえばり)屏風などの実例をすぐ目の前で観賞いたしました。また屏風の大きさや、扇と扇を連結する紙の蝶番(ちょうつがい)の構造、表装などについても実例を見ながら学習していただきました。
この日の参加者は9名とちょっと少なめでしたが、すぐ目の前に美術作品があるという貴重な体験に、どの方も熱心に目を輝かせて、食い入るように作品に見入っておられました。

なお、このイベントで参加者に解説した屏風の歴史や構造などについては、「襖と屏風」展の会場においてもパネル等で説明してあります。イベントに参加できなかった皆さまも、ぜひ会場で本物の作品に接し、日本の伝統的な絵画形式「襖と屏風」の魅力を再発見して下さい。


『襖と屏風−暮らしを彩る大画面の美−』
◆会 期:2011年 2月19日(土)−4月10日(日)
◆休館日:毎週月曜日 ただし3月21日の祝日は開館。 翌3月22日(火)は休館
◆観覧料:一般 750円(550円) 高大生 500円(400円) 小中生 300円(250円))
      ( )内は前売および20名以上の団体料金
◆出品予定作品:江戸時代から昭和期までの、襖、屏風装による日本画作品約25件

★毎日、午後1時から美術館サポーターによるギャラリートークを行います。3月6日(日)は特別に、本展の担当学芸員によるギャラリートークが開かれます(午後1時から)。