新緑の文化ゾーン探索(2)


前回に引き続き、梅雨の入りまでの初夏の新緑がいちばん美しい時期の文化ゾーン内を探索するシリーズの、第2回です。前回は美術館の北側にある日本庭園「夕照の庭」の心字池をぐるっと一周いたしました。今回は前回のゴール地点であった茶室「夕照庵」から美術館を経て、西駐車場に至る道を探索してみましょう。


茶室「夕照庵」は日本庭園のかなめのような位置にあり、ここから多くの遊歩道が延びています。中でも夕照庵から図書館の北側にある六角広場へと抜ける竹林に囲まれた道は、静寂に包まれたとても涼やかな遊歩道で、別世界に迷い込んだような気分になります【地図の(7)】。ベンチに囲まれた六角広場からは、前回ご紹介した渓流沿いの遊歩道に続く道のほか、図書館への近道も延びています。

ですがここでは、美術館へのメインルートとも言える、「文化ゾーン前」バス停から夕照庵前を経てL字型に美術館へと延びる、舗装された道に沿って探索してゆきましょう。この道は通称「すずかけの道」と言って、その名の通りすずかけ(プラタナス)の街路樹に囲まれた美しい道です【地図の(8)】。新緑の季節だけでなく紅葉の季節も独特の味わいがあります。
すずかけの道は図書館の東側を抜けて、T字路に突き当たります。このT字路を左側(東側)に曲がると、公園事務所、県立埋蔵文化財センターの南側を通って、文化ゾーンの東駐車場に行くことができます。公園事務所前の「催し物広場」は芝生に覆われた広場で、親子連れの休日のピクニックに最適のスポットとなっています。なお東駐車場近くの「公園東口ゲート」には係員が常駐しており、高齢者・身障者の乗った車や、タクシーはここから公園内に進入し、美術館入口のすぐ前まで乗り入れることができます。

T字路を右側(西側)に曲がると、図書館の南側を通って美術館の入口へと進むことができます【地図の(9)】。プラタナスに代わって、サルスベリやエンジュなどの木が街路樹になっており、種々のカエデの木もポイントに配されているので、紅葉の季節になると見事な錦繍が目を楽しませてくれます。今の季節は紅葉に代わって、ヤマボウシの白い花が新緑の上を彩っています。

「文化ゾーン前」バス停から舗装された道を通って約5分で、美術館の入口に着きます【地図の(10)】。帰途は来た道をそのままUターンしても良いのですが、せっかくですから美術館の入口を出たら、反対の方向へと足を運んでみましょう。美術館の入口から来た方とは逆の右側(西側)へと進むと、「彫刻の道」と呼ばれる石畳の遊歩道に出ることができます【地図の(11)】

「彫刻の道」はゆるやかな下り坂となってバス道路へと延びる道ですが、その途中には、夏至の日の正午になると作品の影が消える山口牧生の「夏至の日のランドマーク」、ヒロシマの犠牲者たちの墓標のような村岡三郎の「酸素/滋賀」、イギリスのストーンヘンジを思わせる植松奎二の「傾・置/トライアングル」という、3点の巨大な彫刻作品が設置されています【地図の(12)】。

これらの作品については以前このブログでも【第1回】【第2回】【第3回】とご紹介いたしましたが、美術館の中で無料で配布している「美術館ぐるっと探検隊」と題したリーフレットにも簡単な解説が掲載されています。美術館にお越しの際はぜひこのパンフレットを片手に、彫刻の道を探訪してください。なお彫刻の道は石畳の道であるため、足元にはじゅうぶんご注意ください。

この彫刻の道を抜ければそのままバス道路に戻ることができますが、晴天でかつ足元のしっかりした靴を履いている方なら、さらにユニークなルートを楽しむことができます。山口牧生と村岡三郎の作品の間に、山の中を抜けて「わんぱく原っぱ」へと抜ける細い道が続いているのです。分岐点には標識があるのですぐにわかると思いますが、本格的な山道なので、通られる方はじゅうぶん注意してください。足元にさえ注意すれば、小学校低学年のお子さまでも容易に抜けられる道です。山道を抜けたところは「わんぱく原っぱ」という芝生の広場。ピクニックや球技などに最適の場所です【地図の(13)】。ここからはさらに自然林の中を抜ける遊歩道が延びており、のんびりした時間を過ごすことができます。
わんぱく原っぱのすぐ北側にあるのが「文化ゾーン西駐車場」です。ここからすぐに、バス道路へと抜けることができます。

いかがだったでしょうか。皆さまも美術館にお越しになられる際にはバス停や駐車場との往復だけでなく、ぜひ文化ゾーン公園の中を縦横に探索してみてくださいね。