一年に一度の不思議

美術館を出て「彫刻の道」の途中に配置されている、山口牧生(やまぐち・まきお)の「夏至の日のランドマーク」という野外彫刻をご存知ですか?
みかげ石でできた長い直方体の表面に不規則なくぼみを刻んだだけのとてもシンプルな作品ですが、実は一年に一度、この作品に不思議な出来事が起こるのです。その不思議な出来事とは…

一年で最も昼間が長いと言われる「夏至」の正午になると、この彫刻の影が消えてしまうのです。
「どうして!?」と疑問に思いませんか?
実は、石の柱の傾きが、夏至の日の正午に太陽がある方向(南中点)と完全に一致するように作られているため、この時の彫刻の影が、彫刻自身と重なって見えなくなるという仕組みなのです。…とは言うものの、実際に自分の眼で確認してみないと信じられないですよね。
運良く晴れたら、あなたも影が消える瞬間を見ることが出来るかもしれません。
今年(2012年)の夏至は6月22日(金)です。
ぜひこの、一年に一度の不思議な体験を試してみてはいかがでしょうか?

(注) 厳密には夏至の日のちょうど正午に影が消えるわけではありません。この作品が位置する滋賀県大津市での太陽の南中時刻が、日本標準時の基準点となっている兵庫県明石市での南中時刻より6分程度早いため(大津市明石市よりも東にあるからです)、この作品の影が完全に消えるのは、時計の午前11時54分頃になります。