たいけんびじゅつかん「アール・ブリュットとはなそう!アートをつくろう!」を開催しました

企画展「生命(いのち)の徴(しるし)−滋賀と「アール・ブリュット」」の関連ワークショップ、たいけんびじゅつかんアール・ブリュットとはなそう!アートをつくろう!」を11月15日(日)に開催し、大人と子ども合わせて9人の方に参加していただきました。

「生(き)の芸術」と訳されるアール・ブリュット。「正規の美術教育を受けていない人たちが伝統や流行に左右されずに生みだすアート」のことを意味します。見る人に驚きを与える個性豊かな作品群は、人々が持っている美の価値観を揺るがせます。しかし、それと同時に、美の概念を忘れさせ、見る人の心を自由にしてくれます。
そんな「アール・ブリュット」の魅力を、子ども達自らが進んで見つけてもらうために、今回のたいけんびじゅつかんは「アール・ブリュットとはなそう!アートをつくろう!」と題し、「アール・ブリュット」と友達になってもらおうと企画しました。

初めは、学芸員によるギャラリーツアーを行いました。


↑西川智之《うさぎの花瓶》 
無数の突起が花瓶から出ています。その突起物をよく見ると一つ一つ顔になっていて、それが実はうさぎを表していると知るとみんな驚いていました。とてもユーモラスな作品です。


↑「菊地一恵」の染織作品。
カラフルな色で描かれた個性豊かな動物や人々が楽しい作品です。何かわからない動物が何に見えるか尋ねると、「たぬき」や「とら」などバラバラの意見が出て、みんなの笑いを誘いました。


ギャラリーツアーの後は「アール・ブリュットとはなそう!」のはじまりです。
大路裕也の作品4点を鑑賞しながら、全員が思い思いに作品について感じたこと考えたことを話しました。


↑大路裕也 《モナリザ》《ひと》《椅子》《タツノオトシゴ》(左上から時計回り)

大路裕也の絵画作品は題材と絵それ自体がほとんど結びつかない表現が印象的です。
写真の中で、右の職員が指を指している《モナリザ》を見た子ども達からは「トランペット」や「マラカス」など、大人と違った見え方をしたことを教えてくれました。
そして、表現の元になった題材の写真を見比べながら、共通点や相違点をみんなで探したり、「新しく作品のタイトルをつけるなら自分ならどうするか?」という問いに素直に思ったことを言ってくれたり、どのような画材を使っているか自ら考えてくれたりしました。


展覧会鑑賞の後は、いよいよワークショップ「アートをつくろう!」です。


みんなの表現したい気持ちを高めるために、またそれをそのまま画面に表出してもらえるように、今回はたくさんの画材と道具を用意しました。
水彩絵具、パステル、水彩色鉛筆、ラメ入り絵具、クレヨン、油性ペン、ボールペン、クーピー、刷毛、歯ブラシ、網(ざる)・・・などです。
普段、家庭や学校でもこのような多種多様の画材を一度に使うことはなかなかできないようなので、みんなはとても喜んでくれていました。



↑初めは、小さめの紙で色んな画材を試しました。


↑思い切って描いてみると、のびのび自由に表現した作品がいっぱいできたね!


試して描く準備運動の後は、アート作品をつくります。
みんなの創造力をもっと引き出すために、「ぎおんごぎたいご くじ」と「もの くじ」を作りました。くじをそれぞれ引き、引いた言葉を合わせて作品を作ります。


↑これは「くねくね」で「ぐにゃぐにゃ」の「ペンギン」です。さりげなく体がくねくねしています。



↑お子さんに刺激され、お父さんも「くねくねでぐにゃぐにゃのペンギン」を描いていました。


↑「キラキラ」で「ふわふわ」の「くま」です。ふわふわ感を出すために「スパッタリング」という網と歯ブラシをを用いる技法を使っています。


↑「ピカピカ」で「ざわざわ」の「りんご」です。ラメ入り絵具とパステルを駆使し、ピカピカを表現しています。


↑「キラキラ」で「ねばねば」の「かに」です。「キラキラ」を一番に工夫してくれました。


↑「サラサラ」で「ぐにゃぐにゃ」の「うさぎ」です。刷毛で一筆描きした虹や、ティッシュを使用した雲など、隅々までこだわりを感じます。


↑「くねくね」で「ざわざわ」の「こじか」です。ざわざわした感じを出すために、10匹も生き物を描いてくれました。

アール・ブリュットの作品を鑑賞したことで、周囲の目を気にせず、自分が描きたいように描くことの大切さを知ってもらえた今回のたいけんびじゅつかん。朝から展覧会鑑賞と作品制作で盛り沢山の3時間半でしたが、みんな最後まで楽しんでくれたようでした。アートとお友だちになれたかな?また「たいけんびじゅつかん」に遊びにきてくださいね!