ドゥシャン・カーライの魅力 その1


4月24日(土)からいよいよ展覧会が始まるドゥシャン・カーライ。彼の作品の魅力は、いったいどこにあるのでしょうか?

カーライの絵本のトレードマークは、何よりもまず、パステルトーンで描かれた繊細で美しい色調にあります。そして挿絵の登場人物たちはみんな、大きな目を見開いて遠い彼方を見つめるかのよう。どこか哀愁の色を帯びた幻想的な世界は、美しくはかなげで、でもその一方でしっかりとした人間観察と、優しいユーモア精神に裏づけられています。

カーライの絵には、見る人の心を純化し、優しい気持ちにさせる不思議な力が宿っています。ですから彼の作品は子どもたちだけでなく、大人をもそのとりこにさせます。いえ、むしろ人生経験豊かな大人の方が、彼の作品に感じ入るところが多いかも知れません。彼の作品は、人間と彼を取り巻く世界の縮図であり、その中には生きる喜びと悲しみ、苦悩や歓喜、怒りや愚かさ、夢と憧れと愛がぎっしりと詰まっているのです。

そんな宝箱のようなカーライの作品、展覧会として公開されるまであと6日です。

(写真:ドゥシャン・カーライ『魔法のなべと魔法のたま』絵本原画 1991年 (C) Dušan Kállay)