「夏休み子ども美術館」の見どころ紹介(3)


6月28日(火)から始まる夏期常設展示「夏休み子ども美術館:アートはヒミツのかくれんぼ」の展示内容をご紹介してゆくシリーズの、第3回です。今回も前回に引き続き、作品の中に隠されたものやかたちを「みーつけた!」してゆきましょう。今回は、作品の中の「文字」や「かたち」を見つける問題ばかりを集めてみました。

まずは小手調べ。上の写真はクレス・オルデンバーグの「グッド・ユーモア・バーのかたちをしたアルファベット」という版画作品。グッド・ユーモア・バーというのはアメリカで大人気のアイスクリームバーで、表面がチョコレートと細かく砕いたピーナッツの粒で覆われており、中にさまざまなフレーバーが入っています。
ところでオルデンバーグが描いたこのアイスクリームバーは、決してピーナッツの粒で覆われてはいません。代わりに、「A・B・C・D・E・F・G・・・」というアルファベットの文字で覆われています。アルファベットの形をしたビスケットはよくありますが、このアルファベットはなんだか動物の腸のようで、あまり美味しそうではありませんね。それはともかく問題です。アルファベットの「K」は、作品のいったいどこにあるでしょうか?

これは簡単ですね。よく観察すると文字は左上からアルファベット順に並んでいます。「K」は「J」と「L」の間ですから、ほうら、上の写真で赤く囲んだ場所に、ちゃんと発見できますよ。

お次は日本の現代美術作家、山田正亮(やまだ・まさあき)の「Work D-274」。正方形が4×4マスの碁盤の目のように並んだ、とてもシンプルな作品です。けれどもよく観察すると、作品の中には横長の長方形や縦長の長方形など、さまざまな幾何学図形がだまし絵のようにはめ込まれています。
それではあなたは、この作品の中に隠された「十字型」を、見つけることはできるでしょうか?

正解は上の模式図のとおりです。作品をよく観察すると、濃く細い輪郭線によって囲まれた、大きな十字型を見つけることができます。シンプルなようで実は単純じゃない。それがこの作品の面白さです。

続いての作品はオノサト・トシノブの「Silk-55」。見続けていると目がチカチカしてくる強烈な作品です。この作品も細部をよく観察すると、上下に並んだ二つの円をはじめ、さまざまな幾何学図形をだまし絵のように隠していることがわかります。

それでは問題です。この作品の中から、勾玉(まがたま)のような形が2つ組み合わさった、二つ巴(ふたつともえ)の形を見つけて下さい。韓国の国旗(太極旗)の中央にある、右の図のような形と言った方がわかりやすいかも知れませんね。

正解は上の図のとおり。一度かたちがうまく発見できると、二度目からはそれほど苦労しなくても発見できるようになります。

最後は日本画の作品を取り上げましょう。下の写真は京都で活躍した日本美術院の画家、冨田溪仙(とみた・けいせん)の「雲上鶴図」。タイトルのとおり、おごそかな雰囲気を漂わせた雲をバックに、空中を悠々と舞う無数のツルの姿を描いた吉祥画で、新年のお座敷を飾るのにピッタリの作品ですね。
そこで問題。空中を優雅に舞うツルの群れは、幾つかのグループを作って飛んでいるように描かれています。それでは、上の図の青い○印をつけたツルと同じグループで飛んでいるツルは、全部で何羽いるでしょうか?

作品をよく見ると、ツルたちはそれぞれグループごとに、円を描くようにして飛んでいます。青い○印のツルもその前後のツルたちとともに、上の図で示したような大きな円を描いています。ですからこの円周に沿って飛んでいるツルを見つければ良いのです。正解は黄色い☆印で示したように、全部で6羽でした。


いかがでしたか? このような簡単な質問に答えながら会場を回るだけで、大人も子どもも作品を楽しめるのが「夏休み子ども美術館:アートはヒミツのかくれんぼ」です。
会場入り口では小さなお子様にも楽しめるような易しい内容の「かきこむワークシート」を無料配布いたします。会場の外にはカードゲームのコーナーもあります。

今年の夏休み、ぜひ家族そろって「アートはヒミツのかくれんぼ」に挑戦しに来てくださいね。


■常設展示「夏休み子ども美術館:アートはヒミツのかくれんぼ」 6月28日(火)−9月4日(日)
観覧料(共通):一般 450円(360円))、高大生 250円(200円)、小中生 無料 ( )内は20名以上の団体料金。
※企画展の観覧券で常設展も観覧できます。
※毎日、午後2時から美術館サポーターによるギャラリートークを行います。