次回企画展「近代の洋画・響き合う美─兵庫県立美術館名品展」予告


神戸市にある兵庫県立美術館と当館は、所蔵品の相互活用などの相互協力協定を結んでいます。この協定に基づき、平成22年(2010)年には兵庫県立美術館において、当館が所蔵する小倉遊亀の作品を中心とした「没後10年 小倉遊亀展」が開催されました。

そして来年滋賀県立近代美術館において、冬期休館の明けた1月21日(土)から3月11日(日)にかけて、兵庫県立美術館が所蔵する洋画(日本の画家が描いた油彩画)を中心とした名品を紹介する企画展「近代の洋画・響き合う美─兵庫県立美術館名品展─」を開催いたします。日本の近代洋画の流れ、特に関西洋画壇の歴史を広く概観する大規模な展覧会です。

兵庫県立美術館の洋画コレクションには、兵庫県出身の小磯良平(こいそ・りょうへい)の人物画『斉唱』や、金山平三(かなやま・へいぞう)の風景画・芝居絵などに代表される数多くの名品が含まれています。本展はそれらを紹介するとともに、本多錦吉郎(ほんだ・きんきちろう)『羽衣天女』、安井曽太郎(やすい・そうたろう)『巴里の縁日』、岸田劉生(きしだ・りゅうせい)『樹と道 自画像其四』、小出楢重(こいで・ならしげ)『ピヂャマの女』など、日本の洋画史を語る上で欠かすことのできない巨匠たちの代表作を展示し、明治時代から昭和までの洋画の歴史をたどります。また小磯良平の珍しいスケッチや、モダン都市神戸の賑わい、サーカスなどを華麗な色彩で描いた川西英(かわにし・ひで)の木版画滋賀県に関連した日本画の名品などもあわせて展示します。

日々の暮らしや人々の豊かな表情、裸婦の魅力、都市の景観や自然の美しさ、机上の静物の奏でるハーモニー。私たちの身の回りに見出される、こうした豊穣な美の世界を、西洋から学んだ油絵という技法を用いながら、日本の湿潤な風土と日本人の繊細な感性に溶け込ませ、多彩で独創的なスタイルで表現した洋画の尽きせぬ魅力を、兵庫県立美術館の珠玉の名品をとおしてぜひご堪能ください。


主な展示作品

小磯良平(こいそ・りょうへい)「斉唱」

↑金山平三(かなやま・へいぞう)「大石田最上川

↑本多錦吉郎(ほんだ・きんきちろう)「羽衣天女

小出楢重(こいで・ならしげ)「喇叭(らっぱ)のある静物


なお本展に合わせ、当館の常設展示室1《日本画・郷土美術部門》では滋賀県ゆかりの洋画家たちの作品を集めて展示いたします。日本的洋画の開拓者のひとりである、東近江市出身の洋画家・野口謙蔵(のぐち・けんぞう)や、関西洋画壇の重鎮であった大津市出身の黒田重太郎(くろだ・じゅうたろう)などの作品を紹介いたします。また常設展示室2《現代美術部門》では、斎藤義重(さいとう・よししげ)や山口長男(やまぐち・たけお)ら洋画から前衛美術の道へと進んだ先駆的な画家たちと現在活躍中の画家たちを繋ぐように展示し、日本の戦後美術の流れを概観します。企画展と併せてご観覧いただくことにより、日本の近代洋画の歴史がよりよく理解できることでしょう。


企画展示『近代の洋画・響き合う美─兵庫県立美術館名品展─』

■会期=平成24(2012)年 1月21日(土)─3月11日(日)
■休館日=毎週月曜日
■観覧料=一般950円(750円)・高大生650円(500円)・小中生450円(350円)
      ※( )内は前売及び20名以上の団体料金

■関連の催し=
講演会「兵庫県立美術館コレクションの魅力」(申込不要)
 日時=1月29日(日) 午後1時30分─
 講師=河崎晃一(兵庫県立美術館企画・学芸部門マネージャー、館長補佐)
 会場=当館講堂 参加無料

びわ湖ホール声楽アンサンブル「斉唱」コンサート(申込不要・当日整理券配付)
 日時=2月4日(土) 午後2時開演  斉唱のほか、ソロや重唱も交えてお届けします。
 出演=びわ湖ホール声楽アンサンブル・メンバー
 曲目=宵待草 ほか
 企画制作:公益財団法人びわ湖ホール
 協賛=滋賀県立近代美術館友の会
 会場=当館講堂 参加無料
 定員=120名 ※当日12時より整理券を配布します。

たいけんびじゅつかん「モデルさんを描こう」(申込制)
 日時=2月12日(日) 午後1時─4時
 講師=安井直子(当館嘱託員)
 対象=小中学生とその保護者(お子様と保護者ご一緒にお申し込みください)
   ※往復ハガキまたはホームページによる申込制
 材料費:お一人様200円   ※大人の方は観覧券(団体料金750円)が必要です。
 申込締切:1月31日(火)必着

日曜美術鑑賞会「芝居絵の近代」(申込不要)
 日時=2月19日(日) 午後1時30分─
 講師=山口真有香(当館学芸員
 会場=当館講堂 参加無料