「石山寺縁起絵巻の全貌」展、いよいよ今週末限り!


県立近代美術館の秋の企画展「石山寺縁起絵巻の全貌 〜重要文化財七巻一挙大公開〜」が、いよいよ今週末、11月25日(日)で会期終了となります。国の重要文化財石山寺縁起絵巻全七巻を一挙に公開するこれまでになかった展覧会です。秋の紅葉真っ盛りの文化ゾーンとともに、ぜひご鑑賞下さい。
滋賀県大津市にある西国巡礼十三番札所で紫式部ゆかりの古刹・石山寺(いしやまでら)の草創と本尊の霊験譚を描いた重要文化財石山寺縁起絵巻は、生活史、あるいは交通史ほかの、またとない当時を伝える宝庫の資料として、これまでには多くの展覧会で当該部分のみ展観されてきましたが、その全貌が一挙に展示されたことは今までありませんでした。本展覧会は、重要文化財本七巻を全巻一挙に公開する初の試みであるとともに、現在実施中の「模本等関連資料調査研究」の途中報告として、各種の模本や関連資料も公開し、その全貌を初めて提示するものです。


石山寺縁起絵巻の全貌 〜重要文化財七巻一挙大公開〜」 11月25日(日)まで
 ※現在は模本ではなく、重要文化財全7巻の全場面を一度にご覧いただけます。
◆観覧料:一般 950円(750円)、高大生 650円(500円)、小中生 450円(350円) ( )内は前売および20名以上の団体料金
 ※石山寺会場と相互割引があります。
 ・美術館会場の入館券半券を、石山寺会場にお持ちいただくと、入山料(大人500円)を団体料金(大人400円)とさせていただきます。
 ・石山寺会場の半券を、美術館会場にお持ちいただくと、観覧料を団体料金とさせていただきます。

▲重文 石山寺縁起絵巻 第1巻第1段より
左側の僧が石山寺を開いた良弁(ろうべん)。比良明神の化身である老人(右側)の託宣を受け、寺を建立する地を定めた場面です。指し指による演出が効果的に使われています。

▲重文 石山寺縁起絵巻 第2巻第4段より
天皇の勅命で万葉集の訓み方を調べる作業に従事していた源順(もなもとのしたごう)が、石山寺祈願の帰途、馬方の会話から偶然、難渋な箇所の訓み方を悟るシーン。背後の庶民の生活描写が見どころです。紐につながれた猫が描かれているのも興味深いところです。

▲重文 石山寺縁起絵巻 第3巻第3段より
更級日記の作者として知られる菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が11月10日あまりに石山寺に参拝した際の光景。風雪激しく、京都と大津を隔てる逢坂関(おうさかのせき)を越えた時には昔父の任地に伴っていった時のことが思い起こされた。雪景色などの美しい自然描写が見事な場面です。

▲重文 石山寺縁起絵巻 第4巻第1段より
紫式部(むらさきしきぶ)は主である藤原彰子(ふじわらのしょうし)から物語の制作を下命され、石山寺に七日間参籠して祈願し湖水に映る月を眺めているうちに源氏物語の構想を得ました。日本の絵巻物の特徴と言える吹き抜け屋台(屋内の人物や情景をよく見せるために,建物の屋根や天井を省き斜め上から覗き込むように描く構図法)が効果的に使われています。