春の美術館講座「石山寺と縁起絵巻」 は飛び入り参加も大歓迎!

今週末の5月27日(日)、当館は春の美術館講座「石山寺と縁起絵巻」を開催いたします。まだ会場に余裕がありますので、冬日の飛び入り参加も歓迎です。参加は無料ですので、事前申込みをされていない方もぜひお気軽にご参加下さい。


美術館講座は、美術の歴史や作品の見方、制作技法などについて、わかりやすく解説する催しです。第53回目となる今回の美術館講座「石山寺と縁起絵巻」は、滋賀県大津市にある真言宗の古刹、石山寺の歴史とそこに伝わる「重要文化財 石山寺縁起絵巻」について、二人の学芸員が専門分野に基づいて興味深く物語る内容で実施するものです。今年10月6日(土)から11月25日(日)まで企画展示室で開催する『石山寺縁起絵巻の全貌』展の予習にもなっています。

琵琶湖の南端から流れ出る瀬田川の右岸に位置する石山寺は、天平19(747)年、良弁(ろうべん)僧正を開基として開かれたとされる寺院です。「石山寺縁起絵巻」によると、東大寺大仏の造立にあたって大仏に鍍金する黄金の不足を愁えた聖武(しょうむ)天皇が、黄金が得られるよう良弁に吉野の金峯山に祈らせたところ、良弁の夢に吉野の金剛蔵王が現われて、現在の石山の地に伽藍を建てて如意輪法を修すようにとの夢告を受けたことが開基のきっかけであるとされています。石山寺の本堂(国宝)は県内最古の木造建築で、国の天然記念物の珪灰石(石山寺珪灰石は日本の地質百選に選定されています)という巨大な岩盤の上に建っており、これが寺名の由来になっています。寺のシンボルとも言える多宝塔(国宝)は、源頼朝建立の伝承を持ち、年代の明らかなものとしては日本最古の多宝塔です。また本寺は日本でも有数の観音霊場であり、西国三十三か所観音霊場の第13番札所となっています。「近江八景」のひとつ「石山秋月」でも知られ、『源氏物語』の作者紫式部は、石山寺参籠の折に物語の着想を得たと言われています。

午後の講座で取り上げる「石山寺縁起絵巻」(重要文化財)は、良弁僧正の石山寺創建から始まる寺の縁起や、本尊のあらたかな霊験の数々を記した、全七巻からなる紙本着色の絵巻物です。特に第一巻から第三巻は、鎌倉後期の宮廷絵所絵師であった高階隆兼(たかしな・たかかね)の作風に近く、その周辺画家による作とされ,柔軟な描線と精緻な彩色のやまと絵技法が存分に生かされています。なお第四巻は室町時代の土佐派絵師によって、第五巻は南北朝時代、第六・七巻は江戸時代の文化2年(1805)に谷文晁(たに・ぶんちょう)によって描かれたものです。


■日程と内容:
 2011年 5月27日(日) 10時半─3時(予定)
  午前10時半─12時  第1講『石山寺の建立とその歴史』
  午後1時半─3時  第2講『石山寺縁起絵巻を読み解く』
■講 師
 第1講:高梨純次(当館学芸課長)
 第2講:國賀由美子(当館主任学芸員)
■受講料
 無料
■会 場
 滋賀県立近代美術館 2階ワークショップルーム
■定 員
 40名(冬日の飛び入り参加を歓迎します)