次回企画展「装いとしつらえの四季」予告


私たち日本人は、いにしえより、めぐりゆく四季の美しさを愛で、その美を暮らしの中に取り入れてきました。春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪景色など、遠く万葉集が編まれた時代から、日本には、四季の美しさを目で観て楽しむだけでなく、和歌に詠んで他者と分かち合い、また、「装い」や「しつらえ」のなかに取り入れて、心の潤いとしてきた長い歴史があります。
来月6日に始まる新しい企画展「装いとしつらえの四季―志村ふくみの染織と日本画・工芸名品選―」 本展では、こうした「四季の美」をテーマに、「装い」のために作られた着物や帯、「しつらえ」のために作られた陶器、竹工芸、掛軸、屏風といった作品を、当館コレクションから選りすぐり、「春」「夏」「秋」「冬」の四つの章に分けて展示します。自然の色彩を取り入れた志村ふくみの着物を中心に、壮大な自然の風景を描く山元春挙、岸竹堂など、近代日本絵画の巨匠たちの手による掛軸や屏風、清水卯一の革新的な陶芸作品、杉田静山のモダンな竹工芸などを一堂に展示します。「装い」と「しつらえ」のなかに現れる四季をめぐりながら、「近代」と「現代」、「絵画」と「工芸」という枠組みを超えて響き合う、巨匠たちの美の共演を、お楽しみいただく展覧会です。


企画展示『装いとしつらえの四季―志村ふくみの染織と日本画・工芸名品選―』

■会期=平成25(2013)年 4月6日(土)─6月30日(日)
会期中、日本画と染織作品については、前後期に分けて展示替えを行います。陶芸・竹工芸作品については展示替えはありません。
★前期:4月6日(土)─5月19日(日)  ★後期:5月21日(火)─6月30日(日)
■開館時間=9時30分─17時(入館は16時30分まで) 
■休館日=月曜日(ただし4/29・5/6は開館し、4/30・5/7は休館)
■観覧料=一般750円(550円)・高大生500円(400円)・小中生300円(250円)
     ※( )内は、前売および20名以上の団体料金
■展示構成=
○春の章:桜と新緑をテーマに、志村ふくみの紬織着物「紅襲(べにかさね)(桜かさね)」「匂蘭(こうらん)」をはじめ、池上秀畝の「山桜図」や、萌黄色の釉薬が美しい清水卯一の陶器等を展示。
○夏の章:夏の涼やかな水辺をテーマに、志村ふくみの爽やかな絣(かすり)紋着物「越前絣」をはじめ、疋田春湖の「瀞峡之図」、杉田静山の繊細優美な竹工芸や清水卯一の青瓷(せいじ)等を展示。
○秋の章:紅葉をテーマに、鮮やかな色彩の志村ふくみ作「塔(華)」や「猩猩(しょうじょう)」をはじめ、名品として名高い菱田春草作「落葉」や高橋楽斎による信楽焼等を展示。
○冬の章:雪景と初春をテーマに、志村ふくみの「雪の戸」をはじめ、近代絵画の巨匠、山元春挙の絶筆で知られる「梅図」や、白い釉薬を使った清水卯一の陶器等を展示。
○特集展示・志村ふくみ:小さな方形の裂(きれ)を集めた「裂の筥(はこ)」や「裂帖」、様々な色に染め上げられた絹糸など、作品制作に関連する資料を展示。

▲志村ふくみ「匂蘭(こうらん)」昭和62(1987)年

▲清水卯一「 蓬莱青瓷輪花鉢 (ほうらいせいじりんかばち)」昭和49(1974)年

山元春挙「 山村密雪図(さんそんみっせつず)」昭和7(1932)年