平成28年度「わたし流・作品スケッチ大会」審査結果発表


常設展示室に展示中の作品を、子どもたちに自由に模写してもらう夏のイベント「生まれ変われ名画 わたし流・作品スケッチ大会」。今年は7月9日(土)・10日(日)・17日(日)・18日(月)の4日間にわたり開催し、69名の小学生および幼児の参加がありました。
これらの参加者から応募いただいた69点の作品は、2016年8月9日(火)から14日(日)まで、当館のギャラリー展示室で展示いたします。これに先立ち、美術館のスタッフによって優秀作品の審査を行い、以下に挙げる8点の作品の入選が決定いたしました。

見事グランプリを受賞したのは、中島咲弥花さん (小6)の作品『蝶が目覚める時』でした。
川端 健生「地蔵堂」、沢 宏靱「ありそもに蝶の舞ふ」を下敷きに、古いお寺の扉の中から無数の蝶が飛びたつ幻想的でダイナミックな情景を、力強い色彩とコラージュを含めた確かなテクニック花で描き出してくれました。

準グランプリを受賞したのは、上田桂資さん (小5)の作品『前兆』。 朝倉 俊輔の「プラント」、マグダレーナ・アバカノヴィッチの「群衆IV」、ドナルド・ジャドの「無題」やといった現代美術作品を組み合わせて、不穏な空気と期待感が交錯する摩訶不思議な雰囲気のユニークな作品を仕上げてくれました。


技術的に優れた作品に送られる「テクニック賞」、今年の受賞は次の3人でした。

奥田彩巴さん (小1)の作品『くもをたべるつる。』は、冨田 溪仙「雲上鶴図」と沢 宏靱「ありそもに蝶の舞ふ」を組み合せて想像力をはばたかせ、鮮烈な印象の作品に仕上げました。千代紙のちぎり絵や、絵具をスタンプのように画面に押し付けて描く技法など様々なテクニックが駆使されています。

斎内 一秀「六月の頃」をベースにした久留島千佳さん (小5)の作品『6月の田んぼ』は、淡い緑色を基調とした見事な色彩感覚と、確かなデッサン力が見る人をうならせる作品です。木々の表現が巧みなアクセントになっています。

谷口快晴さん (小3)の『お花に集まるちょうちょ』は小倉 遊亀「盛花」と沢 宏靱「ありそもに蝶の舞ふ」を元にした作品。色紙のコラージュや銀色の絵具なども駆使して、装飾性の強いがっちりした画面に仕上げています。色彩感覚も見事です。


ユニークで楽しい表現に与えられる「ユニーク賞」の受賞は、次の3人でした。

入青井優さん (小4)の作品『おこり顔? こまり顔?』は、岩下 哲士「近江路の千手観音」をベースにしたものですが、多様な色彩を駆使して、強烈な元の作品に負けないくらいユニークな表現に仕上げています。仏像のなんとも言えない表情が印象に残ります。

山崎葵依さん (小3)の作品『すうじのひょう』は、ジャスパー・ジョーンズの「ナンバーズ」を元にしたもの。元作品が黒一色の地味なモノトーン作品であったのに対し、こちらは虹のような色彩がほとばしる鮮やかな作品となっています。上部に配された、朝倉 俊輔の「プラント」の存在が隠し味的に効いています。

斎藤 紫山の「夏野」を元にした篠崎紗和さん (幼年中)の作品『やぎのこども』は、幼児の作品らしいのびのびとした画面に、帯状に配された美しい色彩がマッチして、極めてユニークな表現となっています。ヤギの親子の愛らしいしぐさに思わず微笑みがこぼれます。


これら優秀作を含む69点の作品は、8月9日(火)から14日(日)まで、ギャラリー展示室で展示いたします。子どもたちの新鮮な感性に溢れた作品群を、ぜひご覧下さい。