平成26年度「わたし流・作品スケッチ大会」審査結果発表


常設展示室に展示中の作品を、子どもたちに自由に模写してもらう夏のイベント「生まれ変われ名画 わたし流・作品スケッチ大会」。今年は7月12日(土)・13日(日)・20日(日)・21日(月・祝)の4日間にわたり開催し、112名の小学生および幼児の参加がありました。
これらの参加者から応募いただいた109点(3名は応募辞退)の作品は、2014年8月12日(火)から17日(日)まで、当館のギャラリー展示室で展示いたします。これに先立ち、美術館のスタッフによって優秀作品の審査を行い、以下に挙げる7点の作品の入選が決定いたしました。

見事グランプリを受賞したのは、黒田夢乃さん(5年)の作品『じー...』でした。
じゅうたんの上に寝そべっていた白猫がふと物音に驚いて起き上がった瞬間を描いた前田青邨の作品「猫」と、壺に生けられた美しいアジサイの花を描いた小倉遊亀の作品「花と果物」(中央)を素材にして、とてもファンタジックで夢に溢れた優しい作品に仕上げてくださいました。

準グランプリは2名。ひとつは堀太智さん(2年)の作品『Work1961』で、絵具を垂らしながら走るリモコンの自動車に描かせたという金山明の抽象画「Work1961」を元にして、銀色のラメ絵具をところ狭しと走り回るように撒き散らしたダイナミックな作品です。元になった作品と比べても一歩もひけをとっていない迫力です。

もう一点は東峰愛さん(5年)の『夢からさめたねこ』前田青邨の「猫」を元にしている点ではグランプリを受賞した黒田夢乃さんの作品と同じですが、こちらはまるでガリバーのように巨大な猫と戯れる町の子どもたちを描いたユニークな設定になっています。「夢からさめたねこ」というタイトルも意味深で、いま私たちが見ている巨大猫が夢の一シーンなのか、それとも現実なのか、わからなくなってしまいます。


技術的に優れた作品に送られる「テクニック賞」、今年の受賞は次の3人でした。

佐藤ひよりさん(3年)の『カラフルな石ころたち』は、玉石の上を流れる清らかなせせらぎを描いた猪田青以の作品「流れ」を元にしたもの。輪郭線をうまく活用して原画以上にデザイン的に、かつカラフルにまとめてくれました。さりげなく描かれた星のような落ち葉がいいアクセントになっています。

邊見知寛さん(1年)の『かぜとかみなりのかみさま』は、冨田溪仙の「風神雷神」、管井汲の「まるい森」、川端健生の「阿弥陀堂」の3作品を巧みに合成したもの。色鉛筆を基本に、キラキラ折り紙のコラージュやキラキララメ絵具などさまざまな画材を活用してさわやかな作品に仕上げています。

柴田絵理さん(3歳)の『あじさいのおはな』小倉遊亀「花と果物」(中央)を原画に、二人のお姉ちゃんの絵を必死に真似しながら、同じ技法を駆使して描いた力作です。お花の輪郭線をきれいに描くのが大変だったみたいです。


ユニークで楽しい表現に与えられる「ユニーク賞」の受賞は、次の3人でした。

中島咲弥花さん(10歳)の作品『馬とバイクが海をジャンプ!』は、山口晃の「厩圖2004」、冨田溪仙の「風神雷神」、山元春挙の「四海青波図」という、まったく傾向の異なる3作品をフュージョンさせた楽しい作品です。力強くユーモラスなタッチと、明るく爽やかな色彩感覚が高い評価を生んだようです。

清水俊平さん(6年)の『太陽の道』は、伊砂俊彦による型絵染作品「月の道」を元に、夜の月を夕方の太陽に置き換えて描いた迫力満点の作品です。シンプルな力強さと単純なパターンの繰り返しによる面白さが印象に残ります。

石井玲也さん(2年)の『風神さまと雷神さま。』は、冨田溪仙による南画風の洒脱な作品「風神雷神」を、まったく新しい解釈で生まれ変わらせたユニークな作品です。バックを黒にし、画面を3等分して雷と竜巻を両側に描き、大自然の猛威を力強くスリリングに描き出しました。


これら優秀作を含む109点の作品は、8月12日(火)から17日(日)まで、ギャラリー展示室で展示いたします。子どもたちの新鮮な感性に溢れた作品群を、ぜひご覧下さい。