平成27年度「わたし流・作品スケッチ大会」審査結果発表


常設展示室に展示中の作品を、子どもたちに自由に模写してもらう夏のイベント「生まれ変われ名画 わたし流・作品スケッチ大会」。今年は7月11日(土)・12日(日)・18日(土)の3日間にわたり開催し、88名の小学生および幼児の参加がありました。
これらの参加者から応募いただいた88点の作品は、2015年8月11日(火)から16日(日)まで、当館のギャラリー展示室で展示いたします。これに先立ち、美術館のスタッフによって優秀作品の審査を行い、以下に挙げる8点の作品の入選が決定いたしました。

見事グランプリを受賞したのは、南利 樹さん (小3)の作品『新しい世界』でした。
森寛斎の「春秋花鳥図」(右隻)と西内利夫の版画集「琵琶湖の仲間たち」を下敷きに、花と鳥と魚が織りなす自然のシンフォニーを力強く描き出してくださいました。

準グランプリを受賞したのは、石井 玲也さん(小3)の作品『キジは寺をまもってる。』 川端健生「地蔵堂」、森寛斎「春秋花鳥図」(右隻)、冨田溪仙「雲上鶴図」、山元春挙「富士二題」(左幅)といった作品を縦横に組み合わせて、めくるめくスペクタクルな構図でユニークな作品仕上げてくださいました。グランプリ受賞作と比べても甲乙つけがたい出来です。


技術的に優れた作品に送られる「テクニック賞」、今年の受賞は次の3人でした。

久留島 加奈さん (小2)の作品『あきのもみじ』は、森寛斎「春秋花鳥図」(左隻)を元にしながらも真っ赤な透明セロファン紙のコラージュを活用し、トンボが群れ飛ぶ秋の風景を透明感のある叙情的な風景として描き上げています。

笹田 ほのかさん(小3)の『すてきなかびんのほのかなあじさい』は、ティッシュペーパーに絵具を付けてポンポンと押し付けたり、色紙をちぎり絵のようにコラージュするなどのユニークな技法を駆使して、小倉遊亀「花と果物」(中央)を堂々とした風格ある作品に仕上げています。

山形博導「ポロ」をベースにした上田 愛実さん(小5の『)夜中の競争』は、画面にコラージュしたキラキラ光る折紙の効果を充分に生かし、幻想的な夜の都会の風景を見事に作り上げました。ビルの中を馬が走るシュールな光景は一見忘れがたい魅力を放っています。


ユニークで楽しい表現に与えられる「ユニーク賞」の受賞は、次の3人でした。

入野 正恩さん(小4)の『しゃぼん玉』は、フランク・ステラの抽象画「イスファハーン」をベースにしたものですが、なんとも透明感と浮遊感のあるユニークな作品に生まれ変わっています。絵具やコラージュの効果が見事に生きています。

谷坂 透碧子さん(小1)の『にじともみじ』は、森寛斎の「春秋花鳥図」(左隻)をベースに、色鉛筆で丁寧に描いた作品。小倉遊亀の「首夏」の中で絵を描いている少女がこっそり顔を見せているのがほほ笑ましい作品です。

石井 星羅さん(小1)の『うえからみてるよ』は、冨田溪仙「雲上鶴図」、池田遙邨「江州日吉神社」、土田麦僊「百日紅図」、杉本哲郎「マハヴィーラ」といった作品を巧みに組み合わせつつ、意表を突いた真上からのアングルで見事にまとめた作品です。2羽のツルが翼で窓を作っているのもユニークです。


これら優秀作を含む88点の作品は、8月11日(火)から16日(日)まで、ギャラリー展示室で展示いたします。子どもたちの新鮮な感性に溢れた作品群を、ぜひご覧下さい。