たいけんびじゅつかん「太陽の下でシルクスクリーン!」を開催しました。

たいけんびじゅつかん「太陽の下でシルクスクリーン」を9月29日(日)に開催し、大人と子ども合わせて15人の方にご参加いただきました。


今回のたいけんびじゅつかんは、10月6日まで開催中の企画展「ポップの目−アーティストたちは現代文明に何を見たか−」の関連ワークショップです。
ポップアートのアーティストたちが作品制作に用いた版画の技法「シルクスクリーン」を子どもたちに体験してもらいました。

若手の現代美術家である加納俊輔さんをお招きし、本来大掛かりな設備が必要であるシルクスクリーンを、当館でも本格的にできるように企画していただきました。題して「太陽の下でシルクスクリーン」。露光機という大きな機械の代わりに太陽の光を利用するシルクスクリーンです。一体どんな風にするのでしょうか?

初めに、加納さんからシルクスクリーンとは一体どんなものか、他の版画とはどう違うのかを教えてもらいました。


シルクスクリーンとは・・・版画の中でも孔版の一種です。孔版とは、日本の型染の技法やステンシルに近いもので、簡単に言うと、刷りたい形に穴を空けて、その穴にインクを流し込んでプリントします。シルクやテトロンなどの薄い布を枠に貼り、上から感光乳剤を塗ります。この紗枠(しゃわく)に作品を乗せ、紫外線を当てる(露光)と光が当たった部分は感光乳剤が固まり、当たらなかった部分はそのまま残ります。水に流すと光が当たらなかった部分だけが流れて行き、穴が空きます。


まず、加納さんが子どもたちの顔を一人一人撮影。この顔写真は後で透明のシートに印刷して、シルクスクリーン制作に使用します。子どもたちは撮影されるのが少し恥ずかしそうでしたが、みんなすてきな表情!

撮影が終わったら、展示室へ移動し、参加者全員で当館学芸員の解説を聞きながら、企画展「ポップの目」を鑑賞しました。


↑今回体験する「シルクスクリーン」を使用したアンディ・ウォーホルの作品《マリリン》(左)と《フラワーズ》(右)です。


森村泰昌の《王妃と犬》です。子どもたちもユニークな作品に興味津々。


鑑賞後は、いよいよシルクスクリーンに挑戦!
加納さんの他にもシルクスクリーンについて詳しい大野さんと迫さんにも講師として手伝っていただきました。

初めに、アクリル板にたくさんの材料(上の写真)と自分の顔写真を印刷した透明シートを用いてどんなイメージを印刷するか考えます。



↑自分の顔や周りに、定規や虫眼鏡等の素材を並べています。かっこよくなったかな?


↑みんな、おうちの人と相談して色々な物を並べています。楽しそう!


↑先生からアドバイスをもらっています。どんな作品になるのかこの段階では、まだわかりませんね〜。

イメージができあがったら、いよいよ「露光」をしに、屋外へ。
この日の天気は晴れ時々曇り。
晴れているときと曇っているとき、また季節や時間にもよって、露光する時間が変わります。
この日は、晴れているときは13秒、曇りのときは1分太陽の光を当てました。


紗枠とアクリル板の間に黒いケント紙を挟んでいます。これからケント紙を引き抜いて、露光します。時間を計ったらすぐにケント紙をかぶせます!


↑光を当てる時間を守らないと失敗してしまうので、緊張します。

そして、急いで室内に戻り、水で流します。


↑シャワーはコツがいるので先生が洗ってくれました。


↑洗い終わったら、ドライヤーで乾燥。


↑やっと版の完成!あとは印刷するのみ!


いよいよ、これからシルクスクリーンで印刷していきます。
シルクスクリーンで一番楽しみなところでもあり、一番緊張するところでもあります。


今回は、カラフルなキャンバスに印刷します。みんながそれぞれ好きな色を選びました。

キャンバスにどの色のインクで刷るか決めたら、自分でインクを作ります。


↑まぜまぜ〜。インクは臭いが強いので、みんな苦笑いでした。


版を刷り台に乗せ、本番の印刷スタート!一発勝負!上手くできるかな?


版を開けると・・・


きれいなシルクスクリーン版画が!全員から歓声が上がりました!


↑今回特別に参加したアフリカ人男性も、初のシルクスクリーンを体験してとても楽しそうでした。

参加者はみんな、初めてにも関わらずきれいに印刷することができ、大喜び!







どの作品もウォーホルやリキテンスタインに負けない、カラフルでインパクトのある作品になりました。


最後に先生と子どもたちで記念撮影!


今回のシルクスクリーンは、完成するまで、どんな作品に仕上がるかわかりませんでしたが、みんな満足のいく作品を作ることができました。子どもたちは、他の子が作業している様子を見たり、先生のお手伝いを積極的に行ったりと、すっかりシルクスクリーンに夢中になっていました。講師の加納さんも子どもたちの楽しそうな姿を見て、ワークショップをして良かったなぁと思われたようです。



次回のたいけんびじゅつかんは、10月19日(土)開催予定の「日用雑器をつくろう−八幡瓦の技法でものづくり体験−」です。

成安造形大学近江八幡市立かわらミュージアムとの連携事業で、近江八幡に伝わる八幡瓦で「用の美」をテーマに器の制作に挑戦します。日用品の素朴な美しさを感じながら、普段使いのできる雑器をつくりませんか?講師には、成安造形大学美術領域非常勤講師の石川亮さんと鬼瓦製造技術者の前田幸一郎さんをお迎えします。

また、作品は近江八幡市立かわらミュージアムで展示され、自分のつくった器でお茶を飲みます。(※お茶会をびわこ文化公園内「茶室 夕照庵」にて11月10日(日)に開催予定)


企画展「柳宗悦展」を成安造形大学美術領域非常勤講師の石川亮さんの解説とともに鑑賞します。
応募締切は10月7日(月)必着です。
 ※材料費一人500円が必要です。
このイベントについて詳しくはこちらまで。皆様のご応募お待ちしております。