いよいよ今週末、美術館は再オープンです

冬季休館が終わり、いよいよ今週末、2月6日(土)から当館は再オープンいたします。

企画展示室では2月6日(土)から「ビアズリーと日本」を開催いたします。(3月27日(日)まで)
オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』の挿絵で有名な、19世紀英国が誇る夭折の天才画家オーブリー・ビアズリー(1872-98)。その影響はヨーロッパのみならず、欧米の美術の動向に熱いまなざしを注いでいた大正期の日本にも伝わり、版画家や挿絵画家、グラフィックデザイナーへ絶大な影響を及ぼしました。本展は19世紀末から20世紀にかけて、ビアズリーを軸に展開した日英のアートの相愛関係を、およそ270点のイラスト、版画、装幀本でご紹介します。わずか6年に満たない歳月を駆け抜け、常に高い完成度の独創的な仕事を遺した奇才ビアズリー。現代イラストの原点とも言えるその傑作の数々と、妖しい魔力に満ちたビアズリーの白黒の世界から養分を吸い取り、独自の花を咲かせた日英のアーティストたちの個性あふれる作品をお楽しみください。


企画展示ビアズリーと日本』
■会期=平成28(2016)年 2月6日(土)─3月27日(日)
■休館日=毎週月曜日(ただし3月21日(月・祝)は開館、翌3月22日(火)が休館)
■観覧料=一般 1000円(800円)/高大生650円(500円)/小中生450円(350円)
      *( )内は前売および20名以上の団体料金



一方、常設展示室も日本画・郷土美術、現代美術ともに新たに展示替えしてのオープンとなります。日本画・郷土美術部門の展示『新収蔵品を中心に』では、平成26年度の新しい収蔵品を中心に展示いたします。(3月27日(日)まで)
今回の展示作品の中心は、昨年平成27(2015)年に文化勲章を受章されたばかりの、近江八幡市出身の紬織の人間国宝作家・志村ふくみによる、草木染めによる初期の昭和39(1964)年から平成19(2007)年の近作に至る優美な紬織着物の数々および、小裂(こぎれ)などの関連資料の数々です。(会期中展示替えを行ないます)


志村ふくみの他にも、日本美術院の歴史画の大家で小倉遊亀の師でもあった日本画家・安田靫彦(やすだ・ゆきひこ)が渡来人の伝説の学者を描いた「王仁(わに)」、大津市出身の京都画壇の巨匠・山元春挙(やまもと・しゅんきょ)のスケール感あふれる風景画「主基地方図(4点組)」と「嵐峡之図」、近江八幡市出身のモダンで詩情あふれる水墨画家・茨木杉風(いばらき・さんぷう)の「湖畔」と「秋景大原女図」、大津市出身の関西洋画壇の重鎮・黒田重太郎(くろだ・じゅうたろう)の静物画「残菊」と「花」、滋賀県ともゆかりの深い京焼の大家・宮下善寿(みやした・ぜんじゅ)の陶器「彩泥花器 沈黙の風」などが展示されます。


なお併設の小倉遊亀コーナーも併せて展示替えとなります。展示作品は、新しく寄託された「花 其二」(京都大学人文科学研究所蔵)などです。



現代美術部門の展示は『反芸術の世紀』と題し、20世紀美術を通して連綿と受け継がれてきた重要な制作技法「コラージュ」(糊付けという意味)に焦点を絞った展示となっています。(3月27日(日)まで)

コラージュは1912年頃、パブロ・ピカソジョルジュ・ブラックによって発明された、パピエ・コレ(貼り紙)がその端緒だと言われています。当時、描く対象を幾何学的な要素に分解してゆくキュビスムの実験を行なっていたピカソたちは、それによって画面から失われてゆく対象の実在感を画面に取り戻そうとして、新聞紙や壁紙などを即物的に画面に貼り付け、そこに壁や新聞が存在することを暗示しようとしました。またダダイスムの作家クルト・シュヴィッタースは、路上で拾い集めた紙くずを画面に貼り付けて作品を作る「メルツ絵画」のシリーズを開始し、世間を驚かせました。シュールレアリスムの画家たちも意外なイメージの組み合せを生み出すことができるコラージュを活用しました。今回の展示ではアメリカのシュールレアリスム作家ジョゼフ・コーネルによる、箱状のコラージュ作品をご覧いただけます。

戦後の作家たちもコラージュを活用しており、今回はネオ・ダダの作家ロバート・ラウシェンバーグや、ポップ・アートの作家トム・ウェッセルマン、ジェームズ・ローゼンクイストの作品をご覧いただけます。


常設展示「新収蔵品を中心に─志村ふくみ新収品ほか初公開」 2月6日(土)─3月27日(日)
     「コラージュの世界」 2月6日(土)─3月27日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日・振替休日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料(共通):一般 500円(400円))、高大生 300円(240円)、小中生 無料 ( )内は20名以上の団体料金。
※企画展の観覧券で常設展も観覧できます。
※毎日、午後2時から美術館サポーターによるギャラリートークを行います。