秋の常設展示が始まりました

本日9月2日(火)から、常設展示室が秋の展示に変わりました。


日本画・郷土美術部門の展示は日本美術院の作家たち』と題し、わが国最大の在野の日本画団体・日本美術院に所属する日本画形の名作を、院展出品作を中心に展示しています(10月26日(日)まで)

日本美術院は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の創立に尽力し、近代日本における美術史学の礎を築いた学究の徒・岡倉天心によって明治31年(1898)に創設されたわが国初で最大の在野の美術団体です。伝統に学びつつ新たな日本画を追求する革新的な気風のもと、集った俊英たちは研鑽を重ね、数々の名作を発表しました。
本展では日本美術院草創期のメンバーであった下村観山(しもむら・かんざん)の「鵜鴎図」、横山大観(よこやま・たいかん)の「月下牧童」「八幡緑雨」、菱田春草(ひしだ・しゅんそう)の「雪後の月」などをはじめ、10月11日(土)から始まる企画展『遊亀と靫彦』にちなみ、安田靫彦(やすだ・ゆきひこ)や靫彦と共に画業の道を歩んだ画家たちの作品を多数出展いたします。安田靫彦の「静訣別図」「西廂待月」、今村紫紅(いまむら・しこう)の「江頭春」、速水御舟(はやみ・ぎょしゅう)の「鴫柿実」「菊花図」、小茂田青樹(おもだ・せいじゅ)の「母子鹿」、前田青邨(まえだ・せいそん)の「浴女群像」、小林古径(こばやし・こけい)の「難破」など、当館の代表作とも言える作品を多数展示しています。
速水御舟の代表作である「洛北修学院村」がゆっくり鑑賞できるのも嬉しいところです。

なお併設の小倉遊亀コーナーも、本展示に合わせて展示替えが行われました。新しい展示作品は「故郷の人達」「母と子」「少将滋幹の母 挿絵」「窓辺」「山茶花」「百日草」「紅梅白壷」「夏の客」「家族達」「憩う」「観自在」「桔梗」「古陶磁と青柿・白桃・マンゴーなど」「白桃」の14点です。


現代美術部門の展示は『抽象の黄金時代』と題し、1950年代のアメリカで華開いた抽象表現主義を中心に、ヨーロッパや日本の作品もまじえて1950-60年代に世界を席巻した「抽象絵画」の動向を検証します(12月21日(日)まで)。

展示作品は、アメリカ抽象表現主義からはその先駆者であるアーシル・ゴーキーの「無題(バージニア風景)」をはじめ、クリフォード・スティル「PH-386」、マーク・ロスコ「ナンバー28」、アド・ラインハート「トリプティック」といったニューヨーク派の名品、サム・フランシス「サーキュラー・ブルー」、マーク・トビー「Changing of the Square」といったアメリカ西海岸の抽象表現、アントニ・タピエス「黒い空間」、今井俊満(いまい・としみつ)「東方の光」といった同時期のヨーロッパのアンフォルメル(非定型)運動を代表する作品、そして吉原治良(よしはら・じろう)の「無題71」、田中敦子(たなか・あつこ)の「黒い三ツ玉」など日本の具体美術協会の作家たちの作品となっています。
また今回の展示は、スペースをゆったりと取って個々の作品をゆっくり鑑賞できるように配慮しただけでなく、展示室の半分を薄暗くして作品をスポットライトで照らすことにより、ムード溢れる展示空間を作り上げています。当館の代表作であるマーク・ロスコの「ナンバー28」も、静謐な空間で瞑想に浸りながらご鑑賞いただけます。


常設展示「日本美術院の作家たち」 9月2日(火)─10月26日(日)
     「抽象の黄金時代」 9月2日(火)─12月21日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日・振替休日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料(共通):一般 500円(400円))、高大生 300円(240円)、小中生 無料 ( )内は20名以上の団体料金。
※企画展の観覧券で常設展も観覧できます。
※毎日、午後2時から美術館サポーターによるギャラリートークを行います。