いよいよ明日、美術館は再オープンです

冬季休館が終わり、いよいよ明日1月24日(土)から当館は再オープンいたします。
無料公開の企画展示『滋賀近美 30年の至宝展』と同時に、2つの常設展示『滋賀の洋画』『反芸術の世紀』も同時にオープンいたします。『滋賀近美 30年の至宝展』の会期中である2月1日(日)までは、両展示とも無料でご覧いただけます。


日本画・郷土美術部門の展示『滋賀の洋画』は、日本的洋画の開拓者のひとり野口謙蔵(のぐち・けんぞう)と、大津市出身で関西洋画壇の重鎮であった黒田重太郎(くろだ・じゅうたろう)の作品を中心に、滋賀県ゆかりの洋画(油絵)作家たちの作品を厳選して展示しています(3月8日(日)まで)


野口謙蔵は、東京美術学校卒業後、郷里の蒲生町(現・東近江市)に籠ってひたすら郷土の自然と人々の暮らしを、愛情込めて描き続けた画家です。その作風
は油絵でありながら、日本画、特に南画(文人画)を思わせる自由奔放で軽妙な味わいがあり、「油絵で描いた日本画」と評される独特の世界となっています。滋賀を代表するもうひとりの巨匠・黒田重太郎は滋賀県大津市で大阪の豪商の家系に生まれ、小出楢重(こいで・ならしげ)や鍋井克之(なべい・かつゆき)らと信濃橋洋画研究所を設立したり、戦後の二紀会の結成に加わるなど、昭和の関西洋画壇を支えた重鎮画家のひとりです。
本展では二人の他に、鷲田新太、三田康、伊庭伝次郎、島野重之、島戸繁、田村一男らの作品、計22点を展示しています。
なお併設の小倉遊亀コーナーも、本展示に合わせて展示替えが行われました。新しい展示作品は「首夏」「少将滋幹の母 挿絵」「窓辺」「山茶花」「百日草」「夏の客」「家族達」「観自在」「雪」「厨のもの(一)(二)(三)」「花三題」「白桃」の14点です。


現代美術部門の展示は『反芸術の世紀』と題し、常識や権威に果敢に挑戦した反芸術の系譜を作品28点を通して紹介しています。(3月29日(日)まで)。



20世紀初頭、芸術に対する伝統的な考え方や、芸術のあり方そのものを解体する「反芸術」運動のきっかけを作ったのは、キュビスムの旗手であったパブロ・ピカソでした。さらに1920年代、マルセル・デュシャンをはじめとするダダイスムの作家たちは既存の権威を否定し、反芸術の旗印を大きく掲げました。その精神は1960年代のアメリカのネオ・ダダ(ロバート・ラウシェンバーグ等)や、ヨーロッパのヌーヴォー・レアリスム(アルマン等)に受け継がれ、日本でもネオ・ダダ・オルガナイザーズの篠原有司男や荒川修作、ハイ・レッド・センターの赤瀬川原平中西夏之によって継承されました。また河原温の「TODAY」シリーズはコンセプチュアル・アート(概念芸術)の典型的な例として、従来の芸術のあり方を大きく問い直すものでした。また滋賀県出身のシュウゾウ・アヅチ・ガリバーは自らの身体をテーマにコンセプチュアルな作品を作りました。
ピカソが用意し、デュシャンが決定的に引き起こした「芸術とは何か」という問いは、20世紀以降の美術史の中で最も大きなテーゼでした。今回の展示を通して、皆さまもぜひこの問いに立ち向かってみてください。


常設展示「滋賀の洋画」 1月24日(火)─3月8日(日)
     「反芸術の世紀」 1月24日(火)─3月29日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日・振替休日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料(共通):一般 500円(400円))、高大生 300円(240円)、小中生 無料 ( )内は20名以上の団体料金。
※『滋賀近美 30年の至宝展』の会期中(2月1日(日)まで)は無料でご覧いただけます。
※企画展の観覧券で常設展も観覧できます。
※毎日、午後2時から美術館サポーターによるギャラリートークを行います。